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剣の丘に花は咲く 
第三章 始祖の祈祷書
第五話 竜の羽衣
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に囲まれた士郎は、後ろにいるルイズたちに困惑の表情を浮かべた顔を向けると、ルイズたちはジト目で睨み返すだけであった。
 
 全くなんでこうなるんだ?

 シエスタの家族に紹介されるやいなや、シエスタの家族に取り囲まれてしまった。
 母親は自分の体をじろじろと見たあとシエスタに何でか頷くし、父親の方は難しい顔をして俯いている。小さい子供たちは俺の体をつついてくるし……ルイズたちは睨みつけてくる……はぁ、なんでさ。
 内心でため息をつくと、何とはなしにシエスタとひそひそと話し合っている母親に目を向ける。

 ……しかし……似てるな。

 シエスタの母親を見ていると、一時期共に暮らしていた女性のことを思い出してしまう。
 シエスタに似ていると思ったが、どちらかというと母親の方が似ているな。まぁ、当たり前か、あの人とは従姉妹になる訳だからな。
 懐かしげにシエスタの母親を見つめていると、不意にシエスタと話していた母親が顔を上げ……目が合った。士郎はそのまま何となく視線を動かさないでいると……

 しかし、本当に似てるな……ん?

 じっとシエスタの母親を見つめていると、だんだんとシエスタの母親の頬が赤く染まっていく。 
 どこか具合でも悪いのかと思い、ぐっ、と視線を強くして見つめていると、急に横からルイズとキュルケが焦った顔をして体を引っ張てきた。
 
「ん? どうしたんだルイズ?」
「どうしたってシロウっ!? ホントもうっ! ホントにもうっ!! なんであなたはそうなのっ!! 本当にどうしたいのっ!!?」
「親子丼っ!? 親子丼なのっシロウっ!! シロウの許容範囲ってどれくらいなのよっ!!?」
「かっ、かかっ母さんっ!! 何で頬を染めているんですかっ!! はっ!! だ、ダメですよっ!! シロウさんはダメですっ!! っていうか父さんも何か言ってくださいっ!!」

 一瞬にしてシエスタの家の中が、狂乱の宴の場のように騒がしくなった。
 そんな中俺は、ルイズとキュルケに囲まれ詰問され、シエスタは頬を染め惚けている母親の肩を掴んでガクガクと揺さぶっている。父親の方は腕を組んでまだ俯いてい……というか泣いてないかあれ? 子供たちはいつにない家族の様子に興奮したのか、家の中を走り回っている。
 
 ……俺が一体何をしたんだよ……はぁ……なんでさ……




 
 

 夕方、士郎は村のそばに広がる草原を見つめていた。夕日が草原の向こうの山の間に沈んでいく。辺りは沈みゆく太陽に照らされ、草原が赤く染まっている。
 所々に咲いている様々な色の花が、夕日の赤に染められ、眼前に映る全てが赤く見える。
 
 赤い……な。
 世界が赤く染まっている……。
 
 全てが赤い。そんな光景を目の前にして、立ち尽くし
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