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剣の丘に花は咲く 
第三章 始祖の祈祷書
第五話 竜の羽衣
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ろにいるとは、なんかもう、ある意味奇跡だなこれは……。

「何見つめ合ってるのよっ! シロウっ!!」
「はいはい離れる離れるっ!!」

 見つめ合っている内に、獲物に近づくようシエスタがじりじりと士郎ににじり寄っていたが、突然横からルイズとキュルケが、二人の間に体を割り込ませてきた。

「きゃっ!」
「おっと」

 急に体を割り込ませて来たルイズたちに驚きながらも、冷静に後ろに下がってルイズたちをよけた士郎は、軽く顔を振って気を取り直すと、士郎の間に割り込んできたルイズたちを、恨ましげに見つめているシエスタに話しかけた。

「シエスタ。すまないが次は、ひいじいさんの遺品を見せてくれないか」







「まあこれも“兵器”の一つだからな」

 シエスタが家から曽祖父の形見を持ってくる間、士郎は再度“竜の羽衣”が祀られている寺院……神社に戻り、“竜の羽衣”に触れて呟く。
 “竜の羽衣”に士郎が触れると、左手のルーンが光ると共に、士郎の頭の中に、“竜の羽衣”の構造と操縦方法が流れ込んできた。
 まるで解析の強化版のようだなと思いながらも、士郎が“竜の羽衣”を見上げていると、後ろから息を切らして駆け寄ってきたシエスタが声を掛けてくる。

「はぁっはっ……し、シロウさん。持ってきました。こ、これがわたしのひいおじいちゃんの形見です」
  






「ひいおじいちゃんの形見は、これだけです。日記も何も残さなかったそうなんです……ただ、父が言っていたんですが、遺言を遺しているそうです」
 
 シエスタが士郎に両手に持った形見の品を差し出しながら言うと、形見の品を取ろうとした士郎の手が止まり、シエスタの顔を見た。
 
「遺言?」
「は、はい。なんでも、あの墓石の銘が読めるものがあらわれたら、その者に“竜の羽衣”を渡すようにって」
「そうか、そうなると俺にその権利があるというわけか」
「そうですね。そのことを話したら、お渡ししてもいいって言ってました。管理も面倒だし……大きいし、拝んでいる人もいますけど、正直今じゃもう、村のお荷物ですし」
 
 照れくさそうに言うシエスタに、顎に手を当て一つ頷く。

「わかった。ならありがたくいただくよ」
「そうですか。あっ、あと、これを渡す時、その人物にこう告げて欲しいと言ったそうです」
「なんと言ったんだ?」
「えっと……『なんとしてでも“竜の羽衣”を陛下にお返しして欲しい』だそうです。陛下ってどこの陛下かは分かりませんが……ひいおじいちゃんはどこの国の人だったんでしょうか?」
「……日本という国だよ」
「それって確か、シロウさんの国の名前……あっ、だからお墓の銘が読めたんですね。なんだか不思議な気分です、シロウさんと、わたしのひい
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