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剣の丘に花は咲く 
第三章 始祖の祈祷書
第五話 竜の羽衣
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ようなものを身につけたオーク鬼。この群れのボスと思わしきオーク鬼に向かって駆け出す。そして、まだ混乱から回復していないオーク鬼のボスの首を、先ほどのオーク鬼と同様に一瞬で切り落とした。
 ボスの頭を切り落とすも、足を止めることなく、士郎は一番オーク鬼たちが密集している場所に飛び込むと、片っ端からオーク鬼たちの首を切り飛ばし始めた。
 そこまでいくと、さすがにオーク鬼たちは、士郎の存在に気づいたが、気付いた時には既に遅く、生き残っていたのは、わずか四匹のみとなっていた。
 残ったオーク鬼たちは、士郎に立ち向かうことなく背中を向けると、氷の壁に閉じ込められていることも忘れ必死に逃げ出す。しかし、士郎はオーク鬼たちが氷の壁に足を止める前に、その背中に追いつき。横一列になって逃げていた、残り四匹のオーク鬼たちの首が、仲良く一振りで切り飛ばされ、それと合わせるかのように最初に首を切り飛ばされたオーク鬼の首が地面に落ちた。
 周囲に動くものがいない事を確認すると、デルフリンガーを一振りし、刀身を濡らす血と脂を振り払った士郎は、デルフリンガーを鞘に納め、氷の壁に向かって歩き出した。





 夜……オーク鬼の住処であった寺院の中庭で、疲れた様子の士郎たちが焚火を囲んでいた。
 焚火には、鍋がくべられており、その鍋の中では、さまざまな具材が煮込まれたシチューがぐつぐつと煮えている。
 士郎はそれをお椀によそうと、焚火を囲む者たちに手渡していった。

「七つめもハズレか、さすがにこんなものが“秘宝”とは言わないからな」

 士郎はシチューが入ったお椀を持った手とは別の手に持った、色あせた装飾品を持ち上げると、苦笑いする。
 するとルイズは、士郎から渡されたお椀を片手で持ちながら立ち上がると、もう一方の手に持っていたスプーンをズビシッ! とばかりに、バツの悪そうな顔をしてシチューを食べているキュルケに突きつけた。
 
「何が“ブリーシンガメル”よっ! ただの真鍮でできた安物のネックレスじゃないっ!! もぐもぐ……これのどこが“燃える黄金”でできた首飾りなのよっ!」
「もぐもぐ……うるさいわねっ! だから最初に言ったでしょっ! もぐもぐ……中には本物があるかもしれないって」
「もぐもぐ……結局全部駄目だったじゃないのっ!」
「全部じゃないわよっ! もぐもぐ……まだ一つ残ってるでしょっ!」
「どうせそれも、もぐもぐ……偽物よっ!!」
「何よっ! もぐもぐ……」
「もぐもぐ……そっちこそ何よっ! もぐもぐ……」

 ルイズとキュルケがもぐもぐとシチューを食べながら言い合っている横では、士郎とタバサがのんびりと食事をとっている。

「ルイズ、食べるかしゃべるかどちらかにしろ。行儀が良くないぞ」
「わっ、わかってるわよ」

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