平和な時を
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旦区切り、アルカは呟く。
「言ったじゃねェか。ティアの心にゃ何重にも鍵がかかってて、誰にも解けねぇパスワードも付いてるって。10年一緒にいるルーにも、9年一緒にいるオレにも踏み込ませねぇ事を、そんな簡単に教えるなんて有り得ねぇ」
それがティアだから、と。
アルカはそう言った。
「だからだよ、嫉妬すんのは。オレもルーも“家族以外で1番ティアを知ってる”と思ってる。なのにそこに全く知らねぇ奴が割り込んでくるんだ。しかもそいつはティアを心を掴んでる・・・嫉妬せずにはいられねぇな」
笑みが浮かぶ。
ただ口角を上げただけの、表面上の笑み。
その目は決して笑っていない。
その声は決して楽しそうじゃない。
アルカンジュという青年を構成する全てが・・・笑っていない。
「・・・はぁ」
すると、小さくティアが溜息をついた。
それを聞いた全員の視線がティアに向く。
頬杖をついていたティアは目線をこっちに向け、呆れたように肩を竦めた。
「さっきから黙って聞いてれば私が恋をしただの何だの・・・バカじゃないの」
『え?』
「!」
声が重なる。
ライアーの目が開いた。
クロスがおずおずと尋ねる。
「姉さん・・・恋、してないのか?」
「ええ」
回答に時間は必要なかった。
1秒と掛からず、ティアは答える。
その瞬間―――
「よかった・・・!これで俺はまだ生きていられる!」
「えっ!?」
クロスが泣いた。
瞳をキラキラと輝かせ、感激の涙を流す。
思わずヒルダが目を見開いた。
「あ、ライアー起きた」
「聞いたかライアー!ティア恋してねぇってよ!」
「・・・そうか」
言葉は短いが、ライアーの表情は嬉しそうだ。
サルディアとスバルは顔を見合わせ、やれやれというように首を振る。
素直にもっと喜べばいいものを・・・クロスほど素直でも困るが。
「なーんだ、びっくりした」
「ま、そりゃそうか」
「あのティアだしなー」
ギルドメンバーもそれぞれ会話を再開する。
「おっしゃあ!いくぞグレイ!」
「来いやぁ!」
「・・・うるさい」
「「あい」」
喧嘩を再開させようとしたナツとグレイだったが、どうやら本調子を取り戻したらしいティアの眼光には勝てなかった。
ティアは2人から目線を外すと、ミラに目を向ける。
「ミラも変な勘違いしないで」
「ごめんね。でもこの間ティア宛に凄く綺麗な封筒で手紙が来てたから、ラブレターかなって。それ繋がりかもって思っちゃった」
「え?あー・・・あれね。違うわ、あれはこの間の仕事の依頼主から。長々と礼が書いてあっただけ」
「そう。本当にごめんね」
「別にいいわ」
注がれたアップルティーを啜り、ティアは本を開く。
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