第二話 あんなの、ありえない
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の妹だ。そしていつも通りの家。私の部屋。私のベッド、布団。自分の体を確かめる。私の服、スカート、顔体腕足。
「異常なし・・・。」
なし、なし、なし・・・。そう言い聞かせ、ずっと目を背けていた右手を見ることにする。確かに変な携帯電話を渡された記憶と、現にそれを握っている感触はある。でももしかしたら、もしかしたら違うかもしれない。実はやっぱり全部夢で、寝てた時に偶然ひろった石をまだ大事に持ってるのかもしれない。あまりにも壮大な夢のせいでそれが現実と混同することはよくあることだ。あれは夢だったか現実だったのか。今は確かに変な奴らとの何時間の記憶がある。でもそれも実は夢なのかもしれない。上手い具合に夢から覚めた私は何だか走り出してしまって、そう、寝ぼけてたのだ。そうだ、きっとそうだ。根拠はある。だって、ありえないだろう。あんなこと。あんなやつら。ありえない。よし、見るぞ、見るぞ右手・・・。きっと石だ。いや、ゴミかもしれない。いや、汗かもしれない。余りに手に汗握ってそれが結晶化した塩の塊みたいな汗かもしれない。とてつもなく気持ち悪いけどそっちのほうがありえる。見るぞ、見るぞ、見るぞ・・・
「う・・・」
何となくそんな気はしていた。やっぱり握ってたのは、おもちゃのような携帯だ。
「マジ、なのか・・・。」
私はそのおもちゃみたいな携帯電話を机の上に置いた。とりあえず、今日は寝よう。宿題して夕飯食べてテレビ見て風呂入って布団入って寝よう。そんでまだ机の上にその携帯電話があったら、その時はもうちゃんとその非現実的な現実と向き合おう。だから今日はもう、さっきまでの数時間が何だったのか、現実的に考えよう。あの娘が催眠術師で、私を眠らせてたパターンとか、私が実は極度の妄想癖だったパターンとか。可能性として考えるならよっぽど高いパターンはまだ沢山ある。
「あんなの・・・、ありえないって。」
そうだ、ありえない。ありえないって。
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