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少女1人>リリカルマジカル
第五十話 思春期C
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相手であったベルカの生徒たちも……その3人組の所為で色々ふっきれてしまっていた。理不尽に対抗するには、同じく理不尽になるべきだと。ベルカの英雄さんを筆頭に、双剣を振り回す特攻型シスターや、マジで居合剣・絶みたいにぶっ放している方など、すごいのがいた。

 きっと、そういう時代だったのだろう。今では全員、めでたく管理局か教会の方に就職したらしい。素直に喜べないのはなぜだろう、と悩む上層部の方々がいたとかいなかったとか。


「先輩さんたちか…」

 ティオールは去年を思い出しながら、小さく呟く。彼はそこまでその3人組と交流があったわけではない。それでも、彼らの強さは印象に残っていた。特にアルヴィンが廃スペック先輩と呼ぶ、黒髪の少年はティオールにとって憧れの人物でもあった。バインドとかは置いといて。

 黒髪の先輩は、万能型の魔導師であった。相手に合わせ、味方に合わせ、己のスタイルを変えられる。だが、決して器用貧乏というわけではなかった。すべてにおいて、高い水準を維持し続ける文字通りの天才。近、中、遠というオールラウンド型。

 このメンバーの中で、戦闘に関する授業全般を受けていたのはティオールだけだった。遠距離型の戦闘訓練なら、リトスやアルヴィンも参加していたが、近接戦闘の授業を彼らは受けていない。近接戦闘ならティオールが一歩前に出ているだろうが、自信を持って任せろ、と言えるほどの実力はなかった。クイントと打ち合っても、勝負にすらならないだろう。

 授業では時々、初等部と中等部で合同授業をすることがある。その時、黒髪の先輩と直に打ち合ったことがあるティオールだからこそ、壁というものを強く感じた。もともと自身にとって武術とは、家の方針として訓練されていただけのもの。才能というのは、どうしようもないものなのかもしれない。

「うーん、先輩ならこんな状況になった時、どうしたのかなぁー」
「お兄ちゃん、先輩さんと仲がいいよね。ちきゅうやでよくお話をしているって、エーちゃんが言っていたもん」
「地球の漫画とかテレビとか、話が合うんだ。SFアニメを見て、キラキラした目でビーム砲を撃つために提督になりたい! って言っていたしな。……アルカンシェルは撃たないでくれることを祈るけど」

 次元世界で宇宙戦争がないことに安堵したアルヴィンだった。

「……そうだ、せっかくだからちきゅうやに行ってみるか。レティ先輩に会えるかもしれないし」
「えっ、今からか?」
「この時間なら、少し待てば勤務時間も終わるだろうしな。図書室の先輩の意見もあるといいかもだし、そこはメェーちゃんにお願いするか」

 ティオールとしては、ここまでやる気十分なアルヴィンを不思議に思う。作戦会議の時はぶつぶつ文句を言っていたが、なんだかんだで受け入れているのだ
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