第五十話 思春期C
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向く。6つの視線が自身を見ても、全く動じずに不敵な笑みを浮かべ続ける妹。その様子にごくりっ、と誰かが唾を飲み込む音が聞こえた。
「私に……いい考えがあるよ。今のこの迷路のような状態を抜け出す方法にね」
『本当っ!?』
袋小路に陥っている、今の状態を打破する方法。自信満々に告げるアリシアの言葉に、みんなの期待が高まる。妹はさらにグッと腕を組み直し、笑みを深める。そして力強く目をあけ、同時に椅子から立ち上がった。俺たちに向け、はっきりしたアリシアの声が教室に響き渡った。
「とりあえず、今日は解散ッ!!」
清々しいまでに言い切った。
******
「アリシアの意見は妥当だったね。あれ以上、ぐるぐるやっていても仕方がなかっただろうし」
「まぁ、腹も減ってきていたしな。あと1ヶ月あるんだ。根を詰め過ぎても駄目だよな」
学校からの帰り道。アルヴィンとティオールとアリシアの3人は、家に向けて歩いていた。時間的にもずいぶん経っていたので、作戦会議は後日となり、それぞれ解散することになったのだ。テスタロッサ家とティオールの家は、実は結構近い。登下校は基本的にこの3人組になることが多かった。
「お母さんが言っていたよ。追い込みすぎたっていいことなんてないよって」
「あー、そうだな。適度に冷却するのは大事だしな」
前を歩くアリシアが、クルッと2人の方に身体を向け、笑顔を見せた。結構熱くなりすぎていたらしい、と恥ずかしそうにアルヴィンは頭を掻く。そして、少し思案した顔を見せた。一点に集中した状態から抜け出すと、別の視点が見えてくるものである。例えば、戦闘経験がある人に師事を頼んだり、一緒に作戦を考えてもらうのも1つの手だろう。
「『廃スペックトリオ』から意見をもらえたりはできないかな…」
「……確か、去年中等部を卒業した伝説の先輩さんたち?」
「先輩さん、すごかったよねー」
アルヴィンの言葉に、2人もすぐに該当人物の当たりをつける。『廃スペックトリオ』は、5年前の初等部での魔法合戦で、3人組の雄姿からつけられた称号である。その当時もすごかったが、去年の運動会で行われた中等部の魔法合戦は、さらに凄まじかった。
一言でいうと、理不尽すぎた。あの世代だけ、色々おかしかった。インフレを起こしていただろってレベルだった。
驚異のAAAランクという、クラ校の最高ランクをたたき出したバインド王子。それに続き、AAランク所持者の箒で爆走する図書室の先輩。そしてAランクながら、衰えることのない斜め上さが売りのレティ先輩。この3人組はある意味有名すぎて、本名よりも異名の方が轟いているらしい。伝説の先輩とか、理不尽の塊とか。
そんなとんでもない相手との魔法合戦。だが、対戦
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