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少女1人>リリカルマジカル
第五十話 思春期C
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ちゃんたちとバトルをするのは決まっちゃったことだし、ここはどうやって2人に勝つか考えないと!」
「アリシア、でもなぁ…」
「魔法合戦に参加できない私が言うのは、……説得力がないかもしれない。だけど、みんなだって色々頑張ってきたことを私は知っているから。だからッ……!」

 魔法合戦に参加できない。その言葉に、俺はハッとアリシアの顔を見た。彼女の顔に悲壮さはない。あるのは、ただ本当に真っ直ぐな思いだけ。

 俺たちの中でアリシアだけは、魔法合戦に出場することができない。魔法合戦には、いくつか規定があるためだ。全校生徒がこれに参加してしまうと、とてつもない人数になってしまう。そのため、参加条件として『魔導師としてDランク以上の実力を持つ者のみ』とされているのだ。これは、けが人を出さないための配慮も含まれているらしい。

 アリシアは、そのDランクの規定に入ることができなかった。俺たち初等部の児童にとって、最高の舞台である競技に参加できない。本当だったら妹も、一緒に戦いたかっただろう。何事にも一生懸命に頑張る子だから。……だから、せめてもとこの話し合いに参加しているんだと思う。

 俺たちは、アリシアの分を背負っている。本来なら、他人の思いなんて背負ったら重いはずなのに、不思議と動けなくなることはなかった。むしろ、……芯が入った。

「……そうだな。あの2人が強いのは事実だけど、それで負けるのも癪だよな」
「うん。それに最初から負ける前提なんて、クイントとメガーヌにも申し訳ないわ」
「あいつら、絶対に全力で来るだろうしな」
「ははっ、確かに」

 気づけば、俺たちは笑っていた。笑えていた。向こうが全力で来るのなら、こっちだって全力で立ち向かえばいい。普通には勝てないのなら、考えればいいだけなんだ。俺たちが勝利を掴める方法を。そう考えたら、自然と笑みを浮かべられた。

「……運動会まで、後1ヶ月」
「あぁ。まだ、1ヶ月もある」

 リトスとティオールも、静かにうなずき合う。俺たちの変化にきょとんとするアリシアに、俺は笑顔で頭を掻き撫でた。金髪が撥ねまくって普通に怒られました。みんなに呆れられました。

 さて、気合も入ったことだし……作戦会議を始めますか!



******



『作戦会議@ 魔法合戦について』


「まずは競技のルールや勝利条件を把握しておこう。反則負けとかになったら、目も当てられないからね」

 ティオールが進行係を行い、アリシアが黒板に意見を書いていき、メリニスが紙にまとめていく。なんだか本格的な感じになってきました。みんなでこんな風に、1つのことに向けて共同作業をするのはもしかして初めてではなかろうか。

 そう思うと、ちょっと興奮してきたぜ。初めての共同作業…
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