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問題児たちが異世界から来るそうですよ?  〜無形物を統べるもの〜
神明裁判 @
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を避難させる。」

求道丸は今、一輝から譲られた空間倉庫の中にそういった人たちを避難させつつ、ゲームの範囲の外まで逃げている。

「その避難が終わったら、次はその次に力のない人たち。だんだんと参加資格を剥奪して、範囲外に逃げていってもらう。・・・俺が言いたいこと、分かるな?」
「その上で言わせていただきます。私は、最後まであなたとともにいると」

一輝が水の刃で敵を切り伏せ、スレイブが勝手に動いて敵を屠る中、二人は言葉を交わす。

「確かに、それは可能でしょう。今はギフトカードに“裁くもの”と出て、参加しているものもいるでしょう。そういったものたちは、そのしるしが消えると同時に逃走へと向かう。ですが、それでは逃げないものもいます。」

そう、それでは逃げないものもいる。

一輝は当初、そういった人たちのためにギフトゲームの禁則事項を一つ、作るつもりでいた。
すなわち、“参加者の、ゲームに直接関係ない生物、物質、非物質への関与を禁止する”と。
だが、それをできるほど、ゲームに余裕がなかったし・・・何より、一輝という人間がそれにそぐわなかった。

一輝という人間が正義の味方のように動いていたのなら、人からそう認識されていたのなら、違ったのだろう。
正義の名の下に悪を裁く。その名目を掲げた時点で、一輝にはそのルールを設定する権利が生まれる。・・・でも、一輝はそんな人間ではない。
自分が育った一族は“外道”とよばれ、一輝のいた時代ならそこまで酷くはなかったものの、それよりも前の、はるか昔の時代において、人にあだ名す存在を退治してきた彼らに民から与えられたのは、多大な畏怖。忌むべき鬼の名。人でないとする、はっきりとした差別。
彼らにとって、“鬼道”は悪であり、同時に強すぎたために手を出すことの出来ない存在であった。

そんな一族のほぼ全てを一身に受けた一輝が、正義を名乗れる道理があるであろうか。
箱庭という世界のシステムによって今は魔王の位に落ちていないが、本人のほんの少しの感情の変化によって、簡単に魔王の位に落ちてしまう。
そんな危うい綱渡りのような道を、さらに中国において悪を率いた蚩尤の名を使って主催者権限を得たのだ。

だからこそ、一輝は一番望む形でのゲームを開催することが出来ず、さらには自分側のプレイヤーまで存在するという状態でのゲームの開催を余儀なくされた。

「・・・そんなことは分かってる。それに、ただでさえ危ない身を、それでも危険にさらしてるんだからな。」
「せめて、それだけでも解除しましょう。あの方も、それで気分を悪くすることはないはずです。」
「いや、ダメだ。それは出来ない。・・・これは、俺の意地だけどな。」

一輝はそう言いながら、近くに来ていた分身体を切り倒し、再び現れた分身体を水の
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