暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのはANSUR〜CrossfirE〜
Ep7澄み渡りし海上に白蒼の羽根は舞う〜Segen Ritter〜
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ルシリオンがその姿を現す。彼が放った散弾砲は攻撃のためではなく、はやてへ接近するのを感づかれない為の囮だった。轟音と閃光を以って、はやてと“ヴォルフラム”の索敵能力の妨害として利用していたのだ。

「はあああああっ!!」

――知らしめよ汝の忠誠(コード・アブディエル)――

ルシリオンの右手にあるのは蒼の魔力の大剣。それを横一閃。はやてをベルカ魔法陣ごと薙ぎ払うかのように振るった。ルシリオンの持つはやての情報には、はやては広域型で接近戦は不得手とされていた。だから彼は接近戦を選んだ。自らも苦手とする接近戦を。

『ブリューナク、発射です!』

リインがそう口にした瞬間、放たれたのは射撃魔法。ルシリオンのフードに隠れた目が見開かれる。こんな魔法があるとは知らないと。

「ぐおっ!?」

至近距離で放たれた連続掃射の魔力弾、その数は9発。それらが全て防御も何もないルシリオンへと襲いかかった。直撃を受けたルシリオンが弾かれるかのように後方へと退く。コートの前を留めていたファスナーが壊れ、彼の纏っていた白コートが開く。黒を基調とした防護服が露わになった。それは、はやてとリインには憶えのある防護服だった。魔術師におけるバリアジャケット――戦闘甲冑と同じデザインの防護服だ。

「ルシル君。大人しく捕まってもらうよ!」

はやては掲げた“シュベルトクロイツ”を勢いよく振り下ろす。

「『クラウ・ソラス!』」

放たれる砲撃。ルシリオンを横っ跳びで回避すると同時に左手をはやてへと翳し、魔力弾を放ちつつ「我が手に携えしは確かなる幻想」ある呪文を口にした。はやてはそれが何なのか知っていた。

――スレイプニール――

はやての背にある三対の黒翼がバサッと羽ばたいた。すぐさま空へと上がり、何かをしようとしたルシリオンから距離を取る。はやては上空からこの空域を確認した。目下にはルシリオンが未だに“ヴォルフラム”甲板に立っている。
そしてもう1人の白コート、ノーチェブエナの姿をその視界に入れた。はやての目が見開かれる。ノーチェブエナの背にある三対の白翼を見たからだ。それは昨日、彼女が昼寝していた際に夢に見た大事な家族と同じモノだ。

「リイン・・・フォース・・・?」

『はい? どうかしたですか、はやてちゃん?』

「え? ううん、なんでも・・・(そんなわけない。リインフォースがおるわけが・・・)」

はやては頭からその考えを振り払い、現状において為すべきことを思考する。今はテスタメントの1人であるルシリオンを何としても捕縛する、と。

「アカシックトーメント!」

はやての足元から迫る閃光の柱。はやてはギリギリで閃光の柱を回避したが、衝撃波だけはもろに受けてしまった。両腕で顔を覆い庇う。帽子が吹き飛び
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