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グリーングリーン
第四章
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「御前も自分の親が離婚したら嫌だろ」
「それはね」
「離婚の原因なんて色々だけれどな」
「本当にそれは色々だね」
 浮気なり性格の不一致なり経済的な理由なり。とにかく離婚の原因なんて色々だ。お互いに忙しくてすれ違いになって、というのもある。
「一概に言えないけれど」
「折角結婚したんならな」
「離婚しない方がいいよね」
「わしもそう思うよ。だからな」
 彼は重い顔で僕にこうも言った。
「わしあの歌好きでもな」
「嫌いなんだね」
「将来結婚しても離婚したくはないな」
「子供が産まれたら特にね」
「あの歌みたいにはな」
「なりたくないね」
 僕は彼と話しながら心からそう思った、そして。
 大人になって結婚して僕にも子供が出来た、その子供を見ながら妻になってくれた人に対してこんなことを言った。
「これからもずっと一緒にいようね」
「?どうしたの、急に」
 僕は家の中で妻に言った。妻は洗濯ものを畳んでいる途中だった、子供はその妻の傍ですやすやと眠っている。
 その妻と子供を見ながらだ、僕は妻に言った。そして妻はその僕の言葉に気付いた顔になってそのうえで応えてきた。
「そんなこと言って」
「いや、僕達も一緒になれたから」
「それでなの」
「うん、ずっとね」
 一緒にというのだ。
「いたいと思うから」
「そんなの当然じゃないの?」
「だといいけれどね」
「子供も出来たし」
 妻は僕達の子供を見ながら僕に言ってきた。
「何かあったらこの子も悲しむからね」
「それでなんだ」
「そう、一緒にいましょう」
「君がそう言ってくれるのなら」
 僕も笑顔になった、無意識のうちに。
 それでだった、僕はその笑顔で妻に話した。
「嬉しいよ、一緒にいようね」
「ええ、皆でね」
 僕達は笑顔で話せた。それで僕から妻にこんなことも言った。
「毎年一回はね」
「一回は?」
「ピクニックに行こう、家族で」
 こう妻に提案した。
「皆でね」
「皆でなの」
「そう、君とこの子と」
 僕は妻だけでなく我が子も見つつ話した。
「それとね」
「ええ、もう一人ね」
 妻は自分のお腹をさすった、そのうえで微笑んで言ってきた。
「産まれるからね」
「その子ともだね」
「一緒にピクニックに行きましょう」
「そうしよう、それで綺麗な場所を見て」
「それでね」
「それで?」
「美味しいもの食べて」
 妻から僕に言ってくれた言葉は。
「色々とお話しましょう」
「そうしよう、皆でね」
「ずっとそうするのね」
「家族でね」
 僕は妻に笑顔で答えた。
「一年に一回は」
「ピクニックね」
「皆で楽しもう」
 妻とこう話してだった、僕は妻の洗濯を畳むのを手伝った。家族と一緒にいられる時間は幸せその
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