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コミューン
第一章

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                 コミューン
 本多正一は大学においてだ、運動の同志である竹紙鉄矢にこんなことを言った。大学の中は今も紛糾していた。
「学費値上げ反対!」
「安保改悪反対!」
「ベトナム戦争反対!」
「戦争反対!」
「原発反対!」
「三里塚に空港を建設するな!」
「当局の弾圧反対!」
 とりあえず反対だった、やたらと赤く過激な大きな文字が看板や掛け幕に書かれて大学を彩っていた。その中でだ。
 本多はだ、竹紙に言ったのである。
「俺は考えているんだがな」
「革命のことをか」
「ああ、革命はする」
 絶対にだというのだ。
「日本においてな」
「プロレタリアのだな」
「そうだ、しかしな」
「それでもか」
「革命には何が必要だ」
 喧騒の中でだ、彼は言うのだった。今彼等がいる校庭のベンチの周りもゲバ棒を持ちヘルメットとマスクで武装した面々が騒いでいる。
「それは何だ」
「志、理論か」
「それはもう常識だ」
 言うまでもなくだ、持っているべきものだというのだ。
「理論武装していない奴は論外だ」
「そう言うか」
「そうだ、では何が必要かだ」
「志に理論は当然としてか」
「一人では何が出来る」
 本多は強い声で竹紙に言った。
「何も出来ないな」
「国家権力じゃないからな、俺達は」
「ああ、だからな」 
 彼等は権力を持っていない、それ故にだというのだ。
「今の俺達には力はない」
「じゃあどうするんだ」
「一人一人は力がない」
 このことを言うのだった、本多は。
「だから多くの同志が必要だ」
「志と理念を共有するか」
「日本はこのままだと反動する」
 本多は真顔で竹紙に言った。
「帝国主義者者の暴走は止まらない」
「韓国への経済侵略も行っているしな」
「朴政権と結託してな」
 こう言うのだった。
「東南アジアにも侵略を開始しているな」
「そうだな、早く何とかしないとな」
「日本は今以上に反動してだ」
 そしてだというのだ。
「あの戦争の繰り返しになる」
「当局の弾圧も激しくなる一方だ」
 少なくとも彼等はそう思っていた、自分達の行動はあくまで正義でありそれは揺るぎないものと確信している為だ。
「だからな」
「ここはだな」
「ああ、絶対にだ」
「同志を集めるか」
「そうだ、そしてだ」
「そのうえでだな」
「俺達は革命を成功させる」
 必ず、というのだ。
「その為の第一段階としてだ」
「同志を集めるか」
「選びに選んだ同志達をな」
 志と理念を共有し、というのだ。
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