第十一話 幼児期J
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の上に乗っていたリニスも、満足そうに鳴いている。テーブルの上には便箋が広げられ、俺たち2人はそこに今までに習った文字を書き込んでいる。半年ぐらい前までは短文で精一杯だった妹も、かなり上達している。
季節的には秋に入り、太陽が沈む時間も夏に比べて早くなった。晩御飯もお風呂も終わり、後はもう寝るだけだ。今日はリニスとの決闘も一時休戦し、みんなで手紙に書く文章をずっと考えていた。去年のこの時期は紅葉や銀杏といった秋の風物詩を2人で拾って、工作を作っていたな。
「せっかくだからこの前のピクニックのことも書かないか?」
「うにゃ!」
「リニスも賛成だって」
『後はそうですね…。料理について書かれてもいいのではないでしょうか』
「それもいいな」
コーラルの提案を忘れないように、脇に置いておいたメモ帳に書き込んでおく。今年のプレゼントは何にしようか悩んでいたが、アリシアから手紙を書こう、と案を出されたがなかなかいいアイデアだ。
「お母さんの誕生日もうすぐだね」
「だな。アリシアも読む練習しとけよ。本番はこの前みたいに噛まないようにな」
「むー、あれはちょっと間違えちゃっただけだもん!」
前に絵本を音読している時に、噛んだことを思い出したのだろう。少し恥ずかしそうにしている。唇を尖らせる妹に苦笑しながら、ごめんごめんと謝っておいた。
そんなやり取りをしていた最中、コーラルが何かに気付いたのか点滅する。不思議に思い、視線を向けるとそっと俺の方に念話をとばしてきた。
『……ますたー。どうやら来たみたいです』
コーラルの言葉に俺は目を見開き、小さくうなずいた。そろそろ来る頃かもしれないと思っていたが、ついに来たか。そんな俺の様子にアリシアとリニスが揃って首をかしげていた。
「お兄ちゃん、どうしたの?」
「あ、大したことじゃないさ。さて、そろそろ寝ないとな。続きはまた明日だ」
「えー、もうなの」
「アリシア朝起きるの苦手だろ。そろそろ寝ないと朝起きれなくて、母さんに笑われるぞー」
俺がそう言うとしぶしぶ筆記用具の片付けに入った。リニスも散らばった便箋を集め、運んでいる。なんだかんだで素直な妹の姿に、俺も口元に笑みを浮かべながらそれを手伝った。テーブルの上を綺麗にして、俺はアリシア達に声をかけた。
「よし、これでOKだな。俺はまだやることがあるから、先にベットに行っといてくれ。それじゃあおやすみ、アリシア、リニス」
「え、今日も一緒に寝られないの?」
「ごめんな、問題集がまだちょっと終わらなくて。理科なんか全部生物にすればいいのに。科学も物理もいらな…ごほんっ。とにかく明日は絶対一緒に寝るから、今日もリニスと一緒に寝てくれるか? リニスもいいかな?」
「……にゃーう」
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