第十一話 幼児期J
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だ」
「じゃあ、話そう。確か、あれってメッセージとか送れたでしょ。作って終わりじゃなくて、ちゃんと修理や保険付きにもするべし」
だからどこでそんな言葉を…、と頭を抱えながら男性はアルヴィンの意図を理解した。何も考えていないようで、なんだかんだで考えている子だから。そして、それがこの子らしいやり方で、ただでは起き上がらない子だと改めて認識した。
「俺がちゃんと使えるか心配でしょ?」
「……あぁ」
「連絡するから。忙しくても遅くてもちゃんと返信プリーズね」
彼は自分がこの子たちの―――として相応しくなかったのではないかと思っていた。仕事ばかりでほとんどかまってもあげられなかった。だから、彼女と離れたらそのまま関係を断とうと思っていた。
彼女ほど素敵な女性ならきっと新しい家族も作れるだろう。自分よりもっと幸せな家庭を築けるかもしれない。昔の男と関係があれば、その分難しくなると考えたからだ。
だというのに、アルヴィンの言葉を拒否することができなかった。アルヴィンのためにという理由をわざわざ作って、関係を継続させようとする提案に。わかっていても、本当は心の中で望んでいた。それがわかっているからこそ、男性は何も言えなかった。このわがままが、自身のためのものでもあると薄々感じていたからだ。
「おまえは、相変わらずわがままを言わないな」
「ん? 今言ってるじゃん」
「……そうか。ならせっかくのお願いだから、最高のものをプレゼントしなくてはな」
「やった! ありがとう!」
一度は手放しかけた想い。そこにはお互いに、穏やかに笑い合う彼らの姿があった。
ちなみに数年後
『うわぁああぁぁん! あんなの魔法じゃねぇよ!! 昔から馬鹿よりあれすぎると言われてきた俺に喧嘩売ってんだろ!? 魔法なんて名ばかりの知恵熱、または悟りの道開くための量産機だろォ!!』
『アルヴィン本当に落ち着け! あ、あれだ! 魔法使えるために簡単な問題集見繕ってあげるから!!』
『魔法はクリーンな力ですってなんだよ!! 俺の頭クリーンにする気か!? 魔力やリンカーコア云々よりも前に馬鹿には使えませんぐらい注意書きしとけよ!!』
『大丈夫だ! できるから、いつかできるようになるはずだから!! 魔法……いや、理数は私にまかせなさい! とりあえず今日はここの化学式を教えてあげるから…』
なんだかんだで彼らの関係は続いている。……最初の思惑とはちょっと…うん、ちょっと違った形になりながらも。
******
「お兄ちゃん、こんな感じでどうかな?」
「お、いいじゃん。アリシアもだいぶ書けるようになったな」
「にゃーにゃ」
「リニスもほめてくれるの? ありがとう」
アリシアの膝
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