オリジナル/未来パラレル編
第38分節 終末の光景
[1/2]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
『浮い、てる?』
折れた房はそれそのものが人工衛星のように、ゆっくりと、上方へ向かって浮かび上がっていく。
それはもはや房というよりは“花”だった。――徒花の大開花。
緑の枝に白い花が仄かに光り、その花から白い種子が放たれて行く。
(ヤバイ)
長年培ってきた勘が告げた。月花はカッティングブレードを拳で叩き落とした。
《 ドラゴンフルーツスカッシュ 》
月花はDFボムを放てるだけ放った。月花と似た予感を持ったアーマードライダーもいたのか、数人が頭上へ向けてそれぞれの得物を投げた。
それらは白い綿毛に似た種子を爆散させた。
『キャアアアアーーッ!!』
はっとふり返る。一人のアーマードライダーの肩に種子が付着し、ヘルヘイムの蔦が生え、あっというまにそのアーマードライダーを覆い尽くした。『十戒』のワンシーンのようにざっとライダーの垣が割れた。
蔦が消え、現れたのは、インベス。
『うわああ!?』
『ヒィイイ!!』
被害は一人には留まらない。降り注ぐ種子に少しでも触れようものならば、そこからアーマードライダーは次々とインベス化していく。ヘルヘイムの果実を食べていないのに。
(これが戒斗くんの言ってた、最後の侵略なの?)
全ての種子を防ぎきれるわけもない。種子が付着してインベス化し、またはヘルヘイムの植物の苗床になり、一人、また一人と倒れていく。
『諦めるなっ!! まだ全員がやられたわけじゃねえ!!』
混乱を極める場にあって、鎧武の声はよく通り、動きを止めたアーマードライダーを叱咤した。
鎧武はイチゴの錠前をバックルに付け替えた。鎧がオレンジからイチゴに換装されるや、鎧武は空にイチゴクナイを何十本も放った。ヘルヘイムの種子が爆発によって燃え落ちた。
『種子に直接触るな! インベスになるぞ!』
この混乱した状況で、指針になる声がかけられたか、他社のアーマードライダーで火炎系・爆弾系の者が落ちてくる種子を焼くよう武器を放ち始めた。月花もすぐにDFボムを構え直し、空に投げた。
(やっぱり紘汰くんはスゴイな。みんなが惹かれずにいられないモノを持ってる)
こんな室井咲でさえ、紘汰が一緒なら何でもできる気がした。紘汰となら絶望を希望に変えられると思った。
『ごめんね』
聞こえないとあえて知って言葉にした。
春。お天気のいい日に、桜の散る木の下でお弁当を食べたかった。
夏。海へ行って水着を見せて、泳ぎを教えてほしかった。
秋。散った銀杏で敷き詰められた並木道を、腕を組んで歩きたかった。
冬。同じコタツでぴったりくっついてテレビを観たかった。
(ただの恋人みたいなことを、たくさ
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ