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とらっぷ&だんじょん!
第一部 vs.まもの!
第9話 こえがきこえる!
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到着したアノイア教徒たちのその後は、あなた方のご存知の通りです。彼らは約束された地で、沈まぬ太陽の恵みと永遠の命を手に入れた。レノスはその後も外界からアスラ・ファエルへの唯一の窓口として機能した、と伝説に残されています。時が過ぎ、これらの話は童話やおとぎ話になっていった……」
 クムランが机の上で指を組んだ。
「ウェルド君、太陽神殿の入り口にたどり着いた時、何か変わった事が起きませんでしたか?」
「声が聞こえました」
 背筋を伸ばし、答える。
「女の子の話し声ですね。同行していた仲間二人は聞こえなかったみたいですが」
「話し声……?」
「何だ、お前も聞いたのか?」
「子供の泣き声を聞いた。不思議なものだ。あれほど激しく泣き叫ぶ声が聞こえぬ者がいるとは」
「激しく泣き叫ぶ?」
「太陽神殿の入り口に立つと声が聞こえる、と証言する人は数多くいます」
 と、クムラン。
「聞こえる声は人によって違うようですね。この声についてはまだ何も解明されていません。では、あなたに次の宿題を出しましょう。太陽神殿の第一階層、この奥には隠された一室があります。その部屋を見つけ出し、石碑に刻まれている文言を読み、その内容に関する考察をまとめてください」
「わかりました」
「あと、頼みがあるのですが……その場所にノエルさんを連れて行ってあげてくれませんか? あの子は学問に関しては人一倍の情熱があるのですが、魔法の扱いや実戦の経験に関しては、不安な所があります。お願いできますか? ウェルド君、ディアス君」
「――俺もか?」
「ええ。あなたは既に通過した階層なのでつまらないかもしれませんが、この先に出現する魔物は次第に手強くなっていきます。今の内に仲間と協力関係を築き、万一の際に共闘できる下地を作った方が今後の為でしょう。……それに、あなたほど知識欲のある人ならば、本当は興味があるのではありませんか?」
「ないとは言わない。何より暇だ……仕方ない、行ってやる」
「偉そうに!」
「まあまあ」
 クムランがそっと窘めた。
「あの娘はいつ戻ってくる」
「さあな。最後に会った時黒の羨道の最後の階層で時間待ちしてたから、明日か明後日になるんじゃねえの」
「ならば、借りていた本を今夜中に読み切って明日の朝返しに来よう。その際あの娘が戻ってきている様であれば同行する」
 ディアスは立ち上がり、石板を携えてクムランの家から出て行った。
「……ケッ、気取りすましやがって、嫌な奴! 何だよ暇だからって! てめぇはやる事ねえのかよ?」
「確かに、彼がこの町に来た理由は謎ですからねえ。お金を稼ぎに来たわけでもなく、魔法の修行に来たようでもない。大概本を読んで時間を潰しているみたいですしねえ」
「変な奴」
「でも、魔法の腕のほうは確かなのでしょう。この町に来た時
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