7:霧払いの令嬢
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良かったのだが……もう、私はあそこには近付きたくはないよ」
終いには頭まで力なく垂れて、どんよりムードに突入している。
「よ、よく分からんが……まぁ分かったよ。何てことはない要望だし、そっちの肩を持つよ。それじゃあ、後でNPCの宿の方に集合だ。それでいいか?」
それにハーラインは溜息と同時に頷いた。
「済まないね。それじゃあ私は一度、安全な方の宿に向かうとするよ。失礼する」
「オレも行くぜ。NPCの宿の方が安上がりだろうからな。お前ら、遅刻すんじゃねーぞ」
荷物を纏めた二人は揃って村の中へと消えていった。
それを見送った俺は、アスナ達に振り返り様にニヤリと笑ってみせる。
「……さて。俺達はハーラインが吹っ飛ばされたっていう方の宿に行ってみるか」
それに彼女たちは揃って呆れ顔を浮かべた。
「もう、面白がっちゃって。顔を殴られても知らないよー?」
「一番最初はあんたが入りなさいよね」
「分かったよ。……ああ、でもその前に、俺の呼び掛けに応えなかった残り一人の調査をしなきゃいけないな」
「……あ、その必要は無いかもしれません」
「シリカ?」
しばらくの間、一歩下がったところで腰を下ろし、ずっとピナを看護していたシリカが久しぶりに話に介入した。三人が居なくなり、安心したのだろうか。涙も今度こそすっかり収まり、いつもの調子が戻りつつあるようだ。
「確かその人の居た建物って、ハーラインさんが殴られたって言う宿屋だったと思います」
「ふーん、だったら一石二鳥じゃない。この際、休憩と調査をその宿で一緒にしてしまいましょうよ」
「そうだね、マップを見ても宿は割とすぐ近くなようだよ。キリト君」
すぐにウィンドウを呼び出してマップデータを調べていたアスナが俺に微笑みかける。
「分かった。よし、早速行ってみようぜ」
皆が頷くのを確認して、俺はその方向へ歩き出した。
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