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ドリトル先生と京都の狐
第二幕その三

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「安心して下さい」
「はい、王子からお聞きしています」
「スリッパもありますので」
 おトイレに使うそれもだというのです。
「あと馬やオシツオサレツは」
「厩はありませんが」
 残念ながらです、だがそれでもだというのです。
「小屋がありますので」
「そこにだね」
「はい、そこで雨露を凌いでもらいます」
 そうしてもらうというのです。
「ですからそこもです」
「安心してですね」
「そうして下さい」
「わかりました」
 こうお話するのでした、そしてです。
 皆は笑顔で旅館の中に入りました。旅館は全て木造で床も襖も廊下もとても綺麗です。木の香りがしてきそうです。
 そして畳の綺麗な広いお部屋に案内されるとです、おかみさんは先生達にこう言いました。
「お食事を用意してきましたので」
「あれっ、もうそれは車の中で」
「先生、そういうのは言わない約束だよ」
 工事は先生ににこりと笑って告げます。
「だから今はね」
「旅館のお料理を」
「そう、頂こう」
 そうしようというのです、そしてです。
 皆実際に旅館の晩御飯も食べるのでした、そのお料理派といいますと。
 お野菜にです、鶏肉にお魚に。そして特にそのお魚は。
 蛋白でいてしっかりとした味です、トミーはそのお魚を食べて言うのでした。
「このお魚は」
「これが鱧なんだ」
「これがなんだ」
「うん、美味しいよね」
 王子はこうトミーに答えて言うのでした。
「このお魚も」
「確かに」
 その鱧をお箸で食べつつです、トミーは王子に答えます。
「いい味だね」
「このお吸いものもね」
 鱧はお吸いものの中にあります、それを食べながら鱧の味を楽しんでいるのです。そのおつゆにも刃物味が入っています。
 そしてです、お豆腐もでした。
 とても美味しいです、それは神戸のお豆腐とはまた違った味で今度は先生が目を丸くさせてこう言うのでした。
「こんな美味しいお豆腐はね」
「食べたことないよね、先生も」
「うん、特別なお豆腐なのかな」
「京都のお豆腐はね」
 また違う味だというのです。
「特別なんだよ」
「特別美味しいんだね」
「うん、そうなんだ」
 まさにです、そうしたものだというのです。
「だからね」
「それでなんだね」
「そう、あとはね」
 ここで王子はおちょこを出します、勿論そこにあるものは。
「お酒もね」
「お酒もなんだ」
「そう、また違うからね」
「じゃあ一杯」
 実際にです、先生は今度はお酒を飲んでみました。するとそのお酒もです。
 神戸のものとまた違います、それで先生はお酒にも目を丸くさせてそのうえでこう王子に言ったのでした。
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