T シグナル・アロー (2)
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「土蜘蛛は僕を狙っている。術者をどうにかしない限り襲われ続ける。何もしなければ逃げられたのに、攻撃を与えたせいで僕の居場所を向こうに探知された」
「うっ。で、でもっ、またさっきの道具使えば」
「今のは試作品。完成品は三日後まで届かない。これで僕は当面、確実に自分の身を守る術を失った」
「ううっ。そうだっ、リンさんは」
「リンのことまで知っているのか。――イギリスだ。今回の来日は僕一人」
「うあ〜っ!!」
彼女は頭を抱えて奇声を上げた。これ、本当にさっきまで土蜘蛛なんて凶悪な妖怪の群れに単身突っ込んだ人と同じ人か?
それに気になる。彼女は僕のニックネームのみならず、リンのことまで知っている。日本支部の協力者に彼女に該当する人はいないはずなのに。
「だが、助けられたのは事実だ」
「……え?」
彼女はぽかんと僕を見上げてきた。
式王子と応戦した彼女に、あの女が目をつけないとも限らない。あの女は、僕以外を、排除はしても標的にはしないと分かってはいるものの、だからといって放置するのは安心できない。
「うちに来てくれないか。君がなぜ僕の素性を知っているのか知りたい」
うち、と言っても僕も入居したばかりで住居としての体裁は整っていないけれど、外にいるよりはましだろう。
「う、うん! 行く、行きます!」
彼女の笑顔はひどくまぶしかった。
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