暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン 〜無刀の冒険者〜
アリシゼーション編
episode2 そしてまた彼の世界へ
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捻出できなかった……それを負担してもらうという条件で、……僕は彼らに協力したんだ……」
 「あぁ、『彼ら』というのは別にキミが気にすることじゃあ、ないよ。ボクの紹介だ。それが悪用されることは無いし……それ相応に、信用できる者だよ。少なくともボクにとっては、ね」
 「玄路さんに言われても、俺は微塵も信用できません……それで、」
 「『彼ら』は……ライトキューブを「一つの人格の器」として……そしてソウルトランスレーター……STLを人格を育てるための装置として生み出した……だが僕は違う……ライトキューブは「人格データの保管媒体」として……そしてSTLは「人格を写し取る装置」として、……使う」

 ふと、横のスクリーンに目が行った。

 そこに映し出されたのは、俺の知る「ゲーム筐体」ではなかった。むしろ入院中に何度も世話になったような……部屋を一つ丸々占めるような医療機器、かつて仮想世界でのみ動くことができた絶剣ユウキの愛機メディキュボイドを思わせるような、そんな巨大な機械。

 ソウルトランスレーター。
 直訳で、魂を写す装置。

 「……STLは、単純なコピーだけではない……僕の研究の最終目標とは逸れるが……コピーしたフラクトライトを微弱ながら継続維持する……機能もできなくはない……その成果のため……彼女は絶好の症例だったんだ……」
 「まったく、無理矢理に患者を奪われる気にもなりなさいよ、クソ弟」
 「……とにかく」

 相変わらず陶酔する呼白さん。やれやれと頭を振る蒼夜さん。

 ……二人のやり取りの意味は、はっきりとは分からない。言われたことだって、俺には半分も分からなかった。けれども。それでも。たった一つだけ、分かったこと……伝わったことが、あった。それを、どうしても確認したかった。

 「……ソラは……ソラの『魂』は、助かるんですね……?」

 声が、震えた。
 目尻に、滴を感じた。

 霞みかけた視界の中で……四人が、頷くのが見えた。
 母親の口元に、幽かな笑みが浮かぶのも。

 目尻に感じた滴があふれて、熱く頬を伝っていく。
 その熱さは、俺がいつ振りかに感じる、確かな重みのある熱だった。





 「第一段階……ソラ君の現在の記憶を保存することには……成功した……このまま放っておいても……彼女は目を覚ますだろう……だが、彼女の場合はもうひとつ……試せることがある……キミに協力してもらって作る……第二段階の実験だ……」
 「……第二、段階……?」
 「君は……僕の研究内容を……覚えているかな……?」
 「確か……記憶ではなく、遺伝するような……そんなものを調べている、と……」

 言ってたような、言ってなかったような。
 自信はなかったが、呼白さんは満足げに頷いた
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