暁 〜小説投稿サイト〜
SR004〜ジ・アドバンス〜
20years ago ”Beginning of the world”
#03
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している、と言われた方がまだ現実味があるほどの性能。

 ほわー、と感嘆の声を上げてユウリが店の中を見る。店には剣や槍、斧などから、違和感のあるガラスケースの中には《機動銃》が展示されている。これら武器の多くが、ウルクス自身が作った渾身の力作だ。ウルクスは鍛冶屋の職も兼ねているため、初期にはお得なアイテム購入店、中盤はアイテムの強化や作成の依頼などで非常に助かる店なのだ。店主の気質も好感が持てるものだ。

「よう、ユキハルじゃねぇか」

 ウルクスはユキハルの顔を見ると、嬉しそうに笑った。しかしユキハルの方は笑ってなどいられない。衝撃で顎が外れかける。

「……!?お、覚えているのか?」
「おうよ。あったりめーだろ……そっちの娘は何だ?彼女か?」

 ニヤリ、とウルクスがいたずらっぽい笑みを浮かべる。「あ、ああ……そんなところだ」と返しておき、ユキハルは思案に入る。

 ――――NPCに、βテスト時の記憶がある!!

 あり得ない事だった。普通の2DMMOゲーム、VRMMO問わずに、βテストが終了すれば、その間の記録はすべて消去される筈だ。実際、ユキハルのデータは消去され、全くの新規アカウントとなっていたではないか。

 だが……これは一体、どういうことなのだろうか。ウルクスのデータだけが削除されずに残った?ほかのNPCの反応も見てみる必要があるか……。

「すまない、ウルクス。ちょっと急用を思い出した。すぐ戻ってくるから、ちょっと待っててくれないか」
「おう」
「……ユウリ、ウルクスに頼んで、装備を見繕ってもらっていてくれ。ウルクス、こいつの装備品を整えてやってくれないか。クラスは《司祭(プリースト)》だ」
「へいよ。だけどそっちは女将(かみ)さんの方が専門だな……」

 そんなウルクスのつぶやきを聞き流しつつ、ユキハルは店を出る。同時に驚愕。

 ――――β時代には、ウルクスに奥さんなんていなかったぞ!?

 ウルクスは三十代前半と思しき外見をしている。彼の父親である先代アルマゲ氏はいまだ存命だが、この店ではなく別の街にいる設定だ。そのため、ウルクスは一人でこの店を守っている設定ではなかったか……。

「……何が起こっている?」

 とにかく、まずはNPCに起こった異常が、実際に《異常》なのかを確認しなくてはならない。ユキハルが向かったのは、β時代にこれまた世話になった、薬草師のもとだった。

 ウルクスの《アルマゲの道具屋》は武器・防具・装飾品・衣服問わずに扱っているが、回復アイテムなどの消耗品は品ぞろえが悪い。それを補う様に存在するのが、《アルハザード呪術店》。ひどく見つけづらい所にある、いわば『隠し店舗』だ。そのみつけにくさに比例するように、取り扱っているアイテムも非常に高性能だ
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