stay night
01Anfang
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ぁ……」
そんな呟きは虚空に消え、起き上がった少年は汗だくになった寝間着を脱ぎ捨てると台所で水を一気に飲み干した。
「はぁ……」
水を飲み終えた少年はリビングに飾ってある写真を悲しそうな表情で見た。
そこに写っているのは少年と、その両側に立つ男女。
もしかしなくても、少年の両親だ。
少年は写真を見てからまだ朝日が昇っていない空を見て、ジャージを着ると外へ出た。
「はっ、はっ」
毎日続けているトレーニングであり、十年前から一度として怠ったことはない。
風邪を引いた時も、怪我をした時も必ず走っていた。
そのおかげか知らないが、少年は学校で最も速い男子として有名になっていた。
「俺はまだまだだ」
それでも足りない。
少年を埋めるものが何か欠陥している。
「今日も早いな、少年」
教会の前まで行くと、そこにはその教会で働いている言峰綺礼がいた。
「神父さん、おはようございます」
「おはよう。頑張っているようだな」
立ち止まると、一礼する。
「はい。今年は最後の中体連があるので」
「そうか。そんな年か。ということは、君は5歳から走っているということかな?」
「一応そうなりますね」
そんな年から走っている人物がおかしいという概念を、少年は持っていない。
「その年から走り続けているとは、君にもきっと神の加護があるだろう」
「ありがとうございます。じゃあ俺はこれで」
走り出した少年を見て、綺礼は愉悦の笑みを浮かべた。
「珍しいな、綺礼。貴様が他人の努力に笑みを浮かべるとは」
「英雄王。彼もまた、聖杯に選ばれるのだよ」
現れた金髪の男性に対し、綺礼は簡潔に事実を伝える。
「ほぉ……あの小僧、魔術師だったか」
「いや、気づいてはいないだろう。ただ内なる魔力は死すら恐れる量だ」
綺礼は今までの人物からその魔力と才能を推測する。
「そうだな。我が教え子の凛と同格、むしろそれ以上かもしれん」
「何?」
凛の実力を知っているギルガメッシュだからこそ、その表現に対し怪訝な表情をした。
「それほどの奴が何故存在している?」
「彼は十年前に家族を亡くしていてね」
その言葉だけで、ギルガメッシュは大抵の予想がついた。
だからこそ少年を称える。
「我以外に、泥を飲み干す奴がいるとはな」
「飲み干してはいないだろう。ただ死ななかっただけだ」
それだけでも脅威に値するのだが、綺礼はその程度だと割り切る。
そうでなければギルガメッシュと同格ということを認めなければならなくなるからだ。
「奴の名は?」
「仞凪夕璃だ」
「仞凪か。我はあいつが気に入った」
ギルガメッシュがそう言ったのを聞き、綺礼は更に愉悦の表情を深めるのだった。
「ふ
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