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とらっぷ&だんじょん!
第一部 vs.まもの!
第7話 しゅくだい!
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掴んで揺さぶる?
「ちょっ、何言っ、こらっ、あうあうあうあう」
「さあ、いつまで寝ているつもりだ? 勇者! 次なる冒険が僕らを待っている! 共に行こう、まだ見ぬ地平へ!!」
「あうあうあう、分かっ、分かったから放っ」
 舌を噛んだ。
「アーサー、てめぇ――今何時だと――」
「午前十一時だ!」
「嘘だろぉ!?」
「本当さ! こんな時間に寝ているなんて勇者にあるべき姿じゃない、でも君がいてくれて本当に良かった! 僕も今から遺跡に潜るところだったのさ!」
「今からってお前――俺が遺跡に行く事前提かよ……」
「行かないのか?」
「いや、行くけどさ」
「なら決まりだな! すぐに行こう!」
「はあぁっ!? 冗談じゃねえぞ! てめぇと二人きりで行くなんざ死んでも御免だぜ!」
 アーサーはその言葉に含まれた棘を華麗にスルーして、
「うん、君の言う通りだ! 僕ら二人だけで行くよりも、他に誰か居た方がいいな。もう一人誘おう!」
「…………そうだな」
 ウェルドはうんざりしながら起きた。身支度を終え大剣を背負う頃には、アーサーを振り払う気力がなくなっている。この要領、まるで悪質な勧誘か洗脳である。今日一日だけだぞ! 今日一日だけ! ……のつもりが、まさか一生付き合わされる羽目になるんじゃねえだろうな……何てったって悪質な勧誘だからな……。
 宿舎のエントランスに出ると、本を抱えたノエルが外に出て行こうとしているところだった。
「よう、ノエル!」
「ウェルド!」
「今からどこ行くんだ?」
「クムラン先生のところよ! よかったら、あなたも……」
「おっ、それは」
 ちょうどいい、と言おうとしたところにアーサーが前に出て、
「すまないノエル! 勇者ウェルドは今から僕と冒険の旅に出るところなのさ! だが、ご婦人の誘いをむげにするわけにもいかない。いずれ必ずご一緒させて頂こう」
「えっ、あ、ああ……そう……?」
 ノエルはいかにも関わりあいになりたくなさそうに外に出て行った。
(この野郎ッ……!)
 入れ違いでふらふらとジェシカが入ってきた。
「ふああああぁ、お腹へったぁ! この町って朝ご飯食べられる場所ないの!?」
「朝ご飯? ジェシカ、もう十一時――」
「あたしにはっ! 早朝なのっ!! で? あんた達今から遺跡潜るの?」
「そうさ! 何と言っても僕は早く遺跡から〈アザレの石〉を見つけ出さなきゃならないからな! 僕はその石を故郷に持ち帰って、病や魔物に苦しめられている民を救うんだ!」
「あんた本気で言ってんの?」
 ジェシカが頭の後ろで両手を組み、ふくれ面をした。
「魔物なんてこの町の遺跡にしかいないじゃん。あんたの国にはいたの? 魔物」
「えっ? いや。そういえば見かけないな」
 ウェルドは頭を抱えたくなった。
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