第七章
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程度は名前変えたりして誤魔化したりも」
彼はまた笑って菊五郎に述べるのであった。
「色々ありますで」
「ああ、般若湯とか」
「ああ、承知してますか」
実際にこれはかなり有名である。僧侶の世界では酒のことをこう称して飲むのである。これに関しては菊五郎も知っていたのである。
「その通りで」
「まあ今度はそっちを見極めてですな」
「それでまた一つ近付くと」
「それがええですかな」
「そうですな。では今度はそれで」
それを菊五郎にも勧めるのだった。
「ただ」
「ただ?」
「あれでっせ。奥さんにはこのことでは」
「ええ」
一も二もなく彼の言葉に頷く。
「あれには感謝して」
「そうですわ。人間最初の幸せは生まれること」
またしても説教に入る。どうにも俗物臭さとそうした真面目な僧侶の姿が程よい感じに混ざっていた。結局どちらかだけでも人としての僧侶にはなれないのであろう。
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