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俺達のこれから
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く。

「よかった」

 これで殴られずに済むと安堵した俺は、胸倉を掴む彼に両手を放してもらおうと口を動かそうとしたが。

「すぎもとぉぉぉぉおおーっっっ!!!」

 俺の左耳から右耳へと突き抜ける程に溌剌とした人名が、衝撃と共にやってきた。

「おふっ・・・!!?」

 岩本さんに名前を呼ばれたと気付き、首を声の方向に向けようと動かす前に、左わき腹側面に体重の掛かった強い衝撃が俺を襲った。その衝撃は、力強く胸倉を掴む彼の両手を強制的に放させる程に勢いがよく、俺の体を三メートルは優に吹き飛ばすくらいの威力はあった。俺の体が光沢を出す冷たい床に覆い被さり、衝撃が痛みに変わるまでの僅かな間、俺は岩本さんに一体何をされたのか理解しようと必死だった。瞬きするよりも早く、衝撃が走った腹部を一瞥すると、黒光りしたローファーの靴裏が俺の左わきにめり込んでいた。一瞬という短い時間の中、目視で確認できたのはどうやらこの衝撃の原因は岩本さんの前蹴りであった、ということだけだった。何故、突然、俺は岩本さんに容赦なく蹴られたのか。その理由も分からぬまま、無様にも俺の体はコンビニの床に伏せることとなった。

「ごほっ!! うおぇ・・・」

 体を床に伏せてから、間もなくして襲ってくる独特で凄まじい鈍痛。圧迫されるような、締め付けられるような痛みに体はくの字に折り曲り、息は絶え絶えになる。人体の急所である鳩尾(みぞおち)と同様に、神経が集中しているだけに痛覚も鋭敏だ。

「ごほっ!! こぼっ!!」

 地獄のような呼吸困難の苦しみに、俺の意識は段々と遠くなっていく。

「申し訳ありませんでした!! うちの馬鹿が本当に!!」

 丸い体を更に丸くして、激怒する吐瀉物にまみれ彼に対し、人目を憚らず必死に謝罪する店長の岩本さんの姿が俺の目に映る。

「あぁ、だからか・・・」

 俺は慚愧(ざんき)しながら理解した。誰も人の尻拭いなんかしたくない筈だ。どんな状況下にも関わらず、責任を任せられるなんて真っ平御免だ。逆の立場なら怒って当然。俺は、岩本さんの心中を理解した後にゆっくりと瞼を閉じ、この状況を全て岩本さんに任せたのだった。

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