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東方虚空伝
第三章   [ 花 鳥 風 月 ]
三十七話 傷つきし者達
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「聞いてくださいよ虚空様!こいつ戦場にいたらしいんですよ!足手まといにしかならないのに!」

「あーうん知ってた、そういえば秀介はどうしてあんな所にいたんだい?」

 僕と栞の視線を浴びながら秀介はポツポツと言葉を吐き出す。

「えーと、紫様に言われて町の人の避難を手伝っていたんですが…その…途中で凄い光が見えて…その…居ても発ってもいられなくて…気付いたらそこを目指して走っていたんです」

「あんたね!私ですら神奈子様達に危険だから神社にいろ、って言われて我慢してたっていうのに!そもそも何の力も持ってないあんたがそこに行ってもどうしようも無いじゃない!そこの所分かってるの!」

 秀介の言い分に栞が噛み付いた。恐らく栞も行動したかったが諏訪子達に止められて歯がゆい思いをしていたのに無鉄砲に動いた秀介の行動が許せいのだろう。秀介の方も自分の行動が危険だったと自覚しているのか栞に罵られても強く言い返していない。

「…栞、その位で赦してあげなさい。私が助かったのはその子のお陰なんだから」

 栞の罵倒の嵐を止めたのは何時の間にか目を覚ましていた紫だった。

「紫様!目が覚めたのですね!御加減は如何ですか?」

「…気分で言ったら最悪ね…」

 栞にそう聞かれた紫は僕に視線を向けるとすぐに逸らした。僕は横になっている紫の髪を優しく撫でながら、

「もしかして負けた事を気にしているのかい?」

 僕がそう聞くと紫は目を逸らしたまま拗ねたように「別に…」と一言漏らすだけだった。

「百ちょっとしか生きていないんだから一度の負けなんて気にする事なんてないよ。それにちゃんと生きてるんだからそれだけでも勝ちだよ。死ぬ事が本当の負けなんだから」

 死ねばそこで全て終わる、生き残ってこそ意味があるんだと。まぁこれは僕の人生観でしかないんだけどね。
 紫は視線を僕に向けると小さく頷いた。

「それはそうと…秀介、ちょっとおいで」

 僕は手招きをして秀介を近くまで来るように指示すると秀介は膝立ちになりながら恐る恐る近付いてくる。そして僕の正面に正座をするのを確認すると秀介の額目掛けてでこピンを放つ。それを受けた秀介は後ろに仰け反った後上体を戻し額を押さえながら恨みがましそうに僕を睨んでくる。

「あ痛っ!何するんですか!」

「今のは無茶をしたお仕置き、お説教は神奈子達や栞に散々されたでしょう?」

 僕の言葉に言い返す事が出来ず押し黙る秀介の頭を今度はワシワシと撫でる。突然の事で呆気に取られている秀介に、

「それでこれは僕の大切な娘を助けてくれたお礼だよ、但し今度からはあまり無茶はしない事」

「…するな、とは仰らないんですか?」

 僕の発言に栞が半眼で睨みながらそんな事を言っ
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