暁 〜小説投稿サイト〜
ストライク・ザ・ブラッド 〜神なる名を持つ吸血鬼〜
天使炎上篇
11.波乱の訪れ
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、それどうすんだ?」

 真っ白なスケッチブックを指差しながら言う。

「あたし、明日は用事があるのよね」

 浅葱がめずらしく本気で困ったように、浅葱がうめく。
 結局のところ、浅葱が課題を居残りしてるのは、彩斗と古城が原因とも言えなくもない。

「……それなら週末にうちでやろうぜ」

「いいの?」

「ああ。うちは俺以外いねぇし、なにかあったら隣の古城にまかせればいいからさ」

 最悪、古城に任せて彩斗はエスケープすればいいからと古城を巻き込む気満々の彩斗だった。
 浅葱は、満面の笑みを浮かべて、土曜日にね、と言って着替えと荷物を持って美術室を後にした。




 翌日の放課後。授業が終わるとすぐに、古城は昨日の廊下で見せたように脱兎のごとくどこかへと消え去った。

「……あのバカは、昨日からなにやってんだか」

 少々の疑問を持ったが、この暑い中労働するほどの興味のなかった彩斗は、特に用事もないので帰路につく。
 だが、ふと思い出しその足を学校の裏手へと向けた。
 学校の裏手の丘の上。緑の木々に覆われた小さな公園の奥。廃墟となった修道院へと足を運んだ。
 木製の傷んだ扉を開ける。

「みんな元気にしてたか?」

 無人の修道院。そこには、小さな猫が数十匹が彩斗の元へと殺到してくる。

「って、夏音のやつまた拾ってきたな」

 呆れたようなため息をつく。
 だが、彼女はしっかりとここの猫の世話をしているところを見てると責める気には慣れない。
 夏音は、優しい少女なのだから……

 すると、後方の建物の扉が軋む音とともに開かれた。
 面白がってきた侵入者が来たと思い勢い良く振り返る。
 制服の上にパーカーを着た吸血鬼の少年とといつも通りの黒いギターケースを持った剣巫の少女だった。

「……古城に姫柊。どうしてここに?」

「おまえこそどうして?」

「彩斗さんもこの子たちのお世話をしてくれているんです」

 古城の後ろから柔らかな声がした。
 綺麗な銀髪の中等部の制服の少女が現れた。
 叶瀬夏音だ。
 古城の言葉に答える前に夏音が一礼しながら説明する。

「猫! 猫です! 猫ですよ、先輩!」

「あ、ああ。それは見ればわかるが……」

 雪菜らしからぬテンションが高い。
 雪菜は彩斗の周りに群がっている子猫たちを抱き上げて、幸せそうに笑う。

「ふわあ……可愛い……よしよし、よしよし……」

 獅子王機関の“剣巫”といえども普通の中学生。年相応の無邪気な感情を露わにするのが普通だ。
 そんな雪菜の姿を見て、少し安堵の表情を見せる彩斗だった。




 地下十六階。絃神島人工島の中枢、キーストーンゲート内に人工島
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