第一部 vs.まもの!
第6話 きせき?
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に
「はぁっ!? うるせぇぞてめえ状況見ろやこっちは柱の動きを目で追うのに必死なんだぞこの野郎わかんねえのか馬鹿野郎人を実験台みたく先頭に立たせやがって気取りすました意気地なし野郎めが世間話は帰ってからにしやがれ、いやお前は帰って来なくていいから遺跡で永遠に凍りついてやがれ俺がこの大剣でぶっ叩いて即刻砕いてやるからよクソ虫が!!!」
くらい言ってやるところだが、幸いにもエレアノールだったので気持ちよく応じた。
「何だい」
「何故あなたは、人から嫌われようとするのです?」
「そういう風に見えるのかい」
「まさかとは思いますが、あなたは初めから一人でラフメルの葉を探すおつもりでいたのでは?」
「それは違ぇよ」
安全地帯にエレアノールとノエルを手招きしながら答える。
「俺に……命がけでやらなきゃならねえ事があるのはホントなんだ。その為に他の事で危険を冒したくないってのも、最初に断ったのも本心だぜ」
「やらなければならない事?」
「研究論文の発表さ。俺はそれで世界を変えるつもりだ。あっ、でも『じゃあ何で来たの』とかは聞かないでくれよ」
「ええ。あなたにも、ご事情があるのでしょう」
三人は動く柱と細い通路をくぐり抜け、二枚目の扉にたどり着いた。
床のタイルを捲り上げ、部屋一面に木の根が走っている。
三人は声を失った。
部屋を支配しそそりたつ大樹は、枝も幹も根も全て、どす黒く朽ちていた。樹肌には無数の洞(うろ)が口を開け、一目で枯れているとわかる。
「そんな……」
ノエルが首を横に振った。
「折角たどり着いたのに、こんなのって……」
「これじゃ、薬の材料なんて採取できそうにねえな」
ウェルドは徒労感に襲われて、肩を落とし告げた。
「……帰ろうぜ」
「致し方ありませんね」
「そうね……」
三人は落胆を抱えながら、浮遊する柱が待ち受ける廊下へと踵を返した。
ノエルが呟く。
「せめて一枚でも……残ってればよかったのに……」
退室しようとしたその時、ウェルドは耳鳴りを感じた。背後に人が立つような、気配と寒気を感じる。
三人が同時に振り向いた。
「えっ?」
あるはずのないものがあった。
枯れた幹の真ん中から突き出る、若い幹と青々とした葉。
「おい、嘘だろ?」
ウェルドも驚きを隠せなかった。
「どうして……」
ノエルが、なかったはずの幹に近寄る。手を伸ばし、葉を摘んで、慎重に観察した。
「棘のある黄色みがかった葉柄――鋸状の葉身――傷つけると赤紫の汁を出し、ナッツの様な香りがする――信じられないわ、本で読んだ通りよ。ウェルド、これがラフメルの葉だわ。こんな事が起きるなんて……根っこまで枯れているのに……」
「ノエル、早くそれを持って帰りましょう。詳しい事は町に帰ればわかるかも
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