第一章
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危険なことはしてないから」
「本当かい?」
「手の指を切ってその血を見ただけさ」
実際に左手の中指を見せてみる。見ればそこには確かに真ん中辺りで切り傷があった。どうやらその時の傷であるらしい。見ればそれ程大きくはない傷だ。
「これだけれどね」
「本当に大したことはないみたいだね」
「傷をつけるものじゃないから」
こうコリンに答えるのだった。
「だからそれだけだよ」
「そうなんだ。それを聞いて安心したよ」
「そしてその赤でもなかった」
チャーリーは残念そうに述べた。
「それでもね。ないんだよ」
「随分と難しいみたいだね」
「だから悩んでいるんだよ」
そしてその感情を露わにさせているのであった。
「どうしたらその赤を見つけられるのかね」
「けれどどんな赤なのかもわかっていないんだよね」
「そうなんだよ」
たまりかねた顔で述べた。
「実際のところね。それすらもわかっていないんだ」
「じゃあれかい」
コリンは彼の今の言葉を聞いて述べた。
「完全に手探りなんだね、今は」
「そうだよ。何も見えない状態さ」
自嘲めかして述べる。自分でもそれがよくわかっているのだ。だがわかっていたとしてもそれでどうこうすることもできない状況でもあったのである。
「それでも探しているっていうね。迷路に迷い込んだよ」
「迷路ねえ」
コリンは今のチャーリーの言葉を聞いてふと思った。そしてそのことをすぐに彼に対しても言うのであった。
「迷路に迷った時は」
「うん。その時は?」
「一度来た道を戻ることも大事だね」
こう言うのであった。
「時としてね」
「戻るのかい」
チャーリーはそれを聞いて考えに入った。腕を組んでだ。
「そうだよ。この場合は色だから」
「もう一度これまでの赤をチェックしてみるか」
「それも手だと思うよ」
また告げるコリンだった。
「どうしてもわからないのならね」
「そうだね。じゃあ一度そうしてみるか」
親友の言葉を受けて言ったチャーリーだった。
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