オリジナル/未来パラレル編
第35分節 男の友情
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紘汰はザックと、歩いて会社へ帰っていた。
往路はロックビークルだったガイムグループだが、帰路は気分を変えて歩こう、と紘汰から持ちかけたのだ。
咲と光実は、貴虎と話があるようなので、紘汰たちだけで先に帰っている。
(こうして歩くと、沢芽市がいかに寂れたかってのが分かるよな)
シャッターを下ろした店々、人通りがない歩道、あちこちのビルに絡まるヘルヘイムの果実。
若い人間は市外に進学、あるいは就職し、二度と沢芽市には戻らない。
先を諦めた老人ばかりが残った街は、テレビで観るだけだった限界集落にも、似て。
例の大樹を駆除できても、沢芽市が紘汰の若き日のような活気を取り戻すことはもはやないだろうと、紘汰は思った。
「お前ら付き合って何年だっけ」
ザックが唐突に尋ねてきた。紘汰は咲との遍歴を頭の中で辿った。
「ん〜。分かんね。はっきりいつからってないな。告白してないし、されてないし」
「前も聞いたけど、それでよく付き合い続いてんなあ、お前ら」
告白のことに言及すると、ザックは常に寸分違わぬゲンナリ顔をする。
「結構続くもんだぜ。ただ何となく一緒にいて、何となくそういう雰囲気になって、何となく今日まで恋人やってきたって感じ」
「『何となく』の耐久性パネェ……念のため聞くけど、お前、ロリ」
「ないから! 何度も言ってるけどないから!」
形だけでも「付き合う」となると、今まで思いもよらなかった面が視えてくるわけで。
そういう面を知って、かわいい、と感じることもあるわけで。
かわいい彼女に、いとしさが湧いたりするわけで。
「じゃあ紘汰、いつから咲が好きだったんだ?」
「――――」
「そこで黙るからロリ疑惑いつまでも拭えねえんだろうが!」
「だってもう延長線上にあるんだよ、いつからスキとかそういうのが! 自分でもよく分かんなくなってんだよ!」
ぎゃーすか言い合うが、はた、とそこが路上であることを思い出す二人。どちらともなく取っ組み合いをやめて、再び歩き出した。
もっとも路上は吹き荒ぶ風にゴミが舞うだけで、人っ子一人いないのだが。
「――なんか」
再びザックが水を向けて来た。
「路上で男二人でコイバナなんてしてさ。明日の作戦次第で、人類の未来が決まるなんて、嘘みてえだ」
「そうだな――」
ふり返る。ユグドラシル・タワーがあった場所は、ヘルヘイムの大樹がそびえ立っている。
あれが、敵。あれを倒すことで、一時的にでも人類は守られる。
紘汰の大切な人たち――晶やザック、舞に光実、それに、咲。彼らの安寧は守られる。
力など壊すことしかできないモノだと、DJサガラに昔言われた。それでも紘汰は、人を守る
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