第一部 vs.まもの!
第5話 ぼっちのひんかく!
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ウェルドはあらかたの新人冒険者たちがラフメルの葉探しに出かけた後、ノソノソと部屋から出た。
バルデスの話によれば、『太陽の宝玉』を手に入れない限り、カルス・バスティードでの研究結果を外界に持ち出す事は出来ない。紙切れ一枚、メモの走り書きでさえ全て没収されるそうだ。
早く見つけ出す事だな。自分に言い聞かす。
単独で遺跡に潜り、昨日ケイプバイパーを殲滅した辺りを通り過ぎる。未知の領域に入りこんだ。魔物の気配はない。
ふと思いついて立ち止まり、トラップカプセルを取り出して、しげしげと観察する。
フリップパネルについては昨日試してみたが、他にも何かあるかもしれない。カプセルを両手に包みこみ、まだ見ぬ力の具現化を念じてみる。
〈バキューム〉
昨日と同じように、単語が頭に浮かんだ。耳に聞こえるのでもなく、文字が目に見えるのでもない。
だが、目の前に現れたそれが〈バキューム〉で間違いない事だけは確かにわかった。不思議な感覚だ。
四角い石柱のように見える。
それの表面には、一面をくり抜く穴が開けられていた。
一面の穴には何かの模様が彫られているわけでもなく、何かの装置があるわけでもない。
ないのだ。
無。
穴の向こうは闇だった。手を入れてみる。冷たい。腕を肩まで突っ込んだ。指先は何に触れる事もない。柱の中の空間は、柱の大きさよりも広い事がわかった。
柱がガタッと震える。
「うおっ」
ウェルドはバキュームの脇に退避した。バキュームが音を立てて空気を吸い始める。床に積もった砂埃や石片や前にここを通った冒険者が落としていったゴミが、床を転がりバキュームの中に引き寄せられていく。暫くして動作が止む。ウェルドは床に両手両膝をつき、恐る恐る中を覗きこんだ。
見下ろせば、引き寄せられた石やゴミが闇の中に浮いている。どこか一点に吸い寄せられ、少しずつ落ちていくようだ。数分観察していると、落ちていく速度がゆっくりになり、完全に停止した。なおも観察をし続けると、ゴミや石の色が赤色(せきしょく)に変化し始める。それらは真っ赤になった姿かたちを残し、変化をやめた。
ウェルドは、何だかとても恐ろしい物を目撃してしまった気がしてバキュームを消し、何となく目を頭上にやった。
すると、いつの間にやら真後ろに、血色の悪い痩せた青年が靴音も衣擦れの音も呼吸の音も立てずに背後に忍び寄って来て立っており、ウェルドを見下ろしていた。
「のわあああああああああああああああッ!!!!」
ウェルドは驚愕して飛びのき、勢い余って尻もちをつき、虫のように手足をばたつかせてその場から遠ざかった。その様子をディアスはさも馬鹿を見る目つきで見下ろした。
「あだだだだだだだばばばばばばばば」
「……」
「いきなり音もなく背後に忍び寄
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