第一部 vs.まもの!
第5話 ぼっちのひんかく!
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ってんじゃねえぇ! びっくりするだろうがッ!!」
「驚いたのはこちらだ。貴様、二日も前に出発した筈では……」
「はぁ? 俺は数時間前に遺跡入りしたばっかだぜ?」
「なるほど」
と、ディアスは何かに得心した様子で一人頷く。
「そういう事か……」
「何が?」
「……」
「何がだよ?」
「バルデスと名乗る男は我々に、遺跡内の時空の歪みについて説明した。今こうして貴様と俺が遭遇した事は奴の話の証拠となる。貴様の主観では数時間前に探索を始めたばかりでも、俺の主観では貴様は今頃もっと深い階層に到達している筈だ」
「おお……なるほど……」
ウェルドは立ち上がり、服についた砂を払った。
「お前も太陽の宝玉を探しに来たのか?」
「他に何がある」
遺跡の奥から足音が聞こえた。
二人は話をやめ、通路の奥に目を凝らす。
石柱に宿る炎の影の向こうから、誰かが歩いてくる。
ティアラと同じ司祭の服に身を包んだ男が姿を見せた。が、その男が纏う雰囲気には、聖職者としてあるべきものが欠如していた。
品格だ。
「よお、迷える子羊ども」
齧歯類を思わせる顔をした男は、甲高い声で言った。
「ご苦労だな。探し物かい?」
「そんな所だ。てめぇは何者だよ?」
「助司祭カドモン様に向かって偉そうな口を利くんじゃねえ。探し物はこれだろ?」
カドモンと名乗る男はローブの中から丸い石の球を取り出した。
ディアスが訝しげに眉をひそめた。ウェルドも同じ気分だ。太陽の宝玉ならもっと深い階層にあるはず。それに、話に聞く太陽の宝玉は、こんなただ丸いだけの石とは違う。
「ティアラに話は聞いてるぜ……。ラフメルが自生する『青の羨道』に向かうには、この『雫の石』によって遺跡内の装置を解除しなけりゃならねえ」
「雫の石?」
「……。我々に何の用だ」
「これが欲しかったら有り金全部寄越しな」
ウェルドとディアスは視線を交わす。ディアスが答えた。
「断る」
「なっ――?」
「推察するに、貴様はラフメルの葉を探す新人冒険者の弱みにつけこみ、先回りして装置解除に必要な『雫の石』を回収、それを交渉材料に金品を強請(ゆす)るつもりでいたのだろう。だが我々は貴様の協力を必要としていない」
「随分強気なガキじゃねえか。この助司祭カドモン様を甘く見ての発言だろうがな、俺様は容赦しないぜ? 本気で断るつもりなら、雫の石を叩き割るまでさ」
「好きにしろ」
「何!?」
「好きにしろと言ったのだ」
カドモンは雫の石を頭上に振り上げた。
「し、知ってるかクソガキども! この石は結構脆いんだぜ、頭の高さから床に叩きつければ一発でバラバラだ! いいのか!」
「構わない」
「て、てめぇ……俺様は本気だ、本気だぞ!」
「だから構わないと言っている」
「仲間の
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