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緋弾のアリア-諧調の担い手-
その手に宿る調律。
そして想いは力となりて
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を流し出す様に。そして過去を払拭する様に。

そうして彼女はそんな俺が泣き止むまで優しく包み込んでくれた。

そうして、それから。
俺は少しづつ現実に目を向けて、ほんの少しづつ、歩んで行った。
彼女の、そして周りの肩を借りて。徐々に人間らしさを、笑顔を取り戻していった。

そうして、俺は揉め事処理屋になった。
今度は自分が、彼女とはまた違った道で誰かを救える様に。






2







「…時夜、本当にいいのね?」

「うん、もう決めた事だから」


俺は自身の周りを浮遊している、四本の鞘を見据える。
……あの時の彼女との約束を守る、その為に俺に力を貸せ。






3







「これで良かったのですか、ナルカナ様」


今まで言葉を制していた環が、その口を開く。
その視線の先には、縁側で綺羅に膝枕をされて眠っている時夜の姿が映る。
そして、その脇には浮遊する四本の鞘型の永遠神剣。


「…あの子が望んだ事よ。それに私はほんの少し後押しをしただけ」


私は時夜があの神剣と対話出来る様に、あの神剣の意識に少しばかり揺さぶりを掛けただけ。
あの子の姉として、私は望んだ事をしただけだ。

あの決意と覚悟に満ちた瞳を、言葉を、想いを、誰が否定出来るだろうか?
それに私には、あの子が無事に帰って来るという、不明瞭ではあるが、確かな確信があった。

確かな確証が、私の中である訳ではない。
けれど、あの子ならばきっと帰って来れる。そう不思議と思える。


「…それでも、万が一という事もあります。……確立的には、成功する可能性の方が少ないでしょう」

「それでも、あの子ならばきっと大丈夫よ。…帰ってくるわ、時夜なら」

「また、いつもの勘ですか?」

「まぁ、そんな感じね。もしダメだったら、私がぶっ飛ばしてでも時夜を連れ戻してくるから、安心して良いわよ」

「その時点で、安心が出来ませんが…信じましょうか、時夜さんを」






4







「…………」



深く、深く、深く…。
意識が水面の最奥に、深い、深い、闇の中へと溶け込んで行く。

キン…っと、甲高い金属音が唐突に鳴り響く。
ゆっくりと自身の瞳を開くと、俺は何時か見た夢の世界に佇立していた。

夢の中で夢見た世界。


「…いるんだろう、“諧調”?」


一歩足を踏み込んだ所で、俺は虚空に向けてその“名前”を呼んだ。
この神剣と意識を同調した時、その存在を構成する名を得たのだ。

陽光に照らし出された世界。

刹那。その眩さよりも眩い光が拡散して、広がって行く。
その強
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