暁 〜小説投稿サイト〜
緋弾のアリア-諧調の担い手-
その手に宿る調律。
姉弟の気持ち
[2/3]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
ての後悔の日々を過ごすのは嫌だ。


―――力が欲しい。


それは“あの時”も、そして今も願い続けている俺の魂の根源。渇望と言ってもいい。


「…それでも、俺はコイツを目覚めさせて欲しい」


大切な今という刹那を、未来という希望を守る為に、俺は力を欲する。
そして、今度こそ大切な人を守れる様に。力へと手を伸ばす。


「俺は神剣に呑まれたりしない、屈したりしない、負けたりなんかしない。だから、ルナお姉ちゃん…この永遠神剣を目覚めさせて欲しい」


そう確かな意志を言葉と瞳に宿す。
そこにいるのは、未だに幼い4歳になりたての幼い少年。

けれど、確かにそこには、決意と覚悟を決めた一人の男がいた。






1







ナルカナside
《出雲大社》
PM:4時12分


「俺は神剣に呑まれたりしない、屈したりしない、負けたりなんかしない。だから、ルナお姉ちゃん…この永遠神剣を目覚めさせて欲しい」


そう時夜は私に宣言した。
その蒼穹の双眸には、確かな決意と覚悟の色が灯っている。

私は、生まれた時からこの子の事を見てきた。
幼い側面も持つ時夜だが、時折、その歳の子供とは見えない程に、大人びて見える事がある。
達観している様で、かたや子供の様で、そうした矛盾を孕んでいる。

精神と身体の比率が合っていないかの様な、どこか奇妙な感覚を覚える。

その時夜の言葉と瞳の奥底。
そこには一度何かを失った事がある様な、もう二度と失う事を良しとしない様な、確固たる意志があった。

もしかすると、時夜も転生体と呼ばれる存在なのではないだろうか?
そう言った可能性が頭を過ぎる。

本人は気付いていないが、頭の奥底に、心の奥底に、魂の奥底に眠る、前世の記憶。
それがそう、時夜を突き動かしているのではないかと。

この私達が存在している世界を内包する時間樹エト・カ・リファは、幾数もの世界をその内に内包している一種の多元宇宙。

その膨大な数を誇る世界の中で、そうした転生体と呼ばれる者達は存在するのだ。

前世が神であった存在等が例に挙げられる。
嘗て、この時間樹にも神々の生きる時代。神代の時代が存在した。

そうした神代の神々が死して、神名を保持した人間として輪廻転生する。
そう言った存在を転生体という。

そう言った疑念も浮かび上がった。
だが、時夜からは神名たるオリハルコンネームを感じ取れない。

ならば、何が時夜をそこまで突き動かすのか?
…私には推測出来なかった。そもそも、私はそう言ったキャラではない。


「お願い、ルナお姉ちゃん」


時夜は私に言葉を向けて、私の返答を真摯に待っている。

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ