その手に宿る調律。
姉弟の気持ち
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ての後悔の日々を過ごすのは嫌だ。
―――力が欲しい。
それは“あの時”も、そして今も願い続けている俺の魂の根源。渇望と言ってもいい。
「…それでも、俺はコイツを目覚めさせて欲しい」
大切な今という刹那を、未来という希望を守る為に、俺は力を欲する。
そして、今度こそ大切な人を守れる様に。力へと手を伸ばす。
「俺は神剣に呑まれたりしない、屈したりしない、負けたりなんかしない。だから、ルナお姉ちゃん…この永遠神剣を目覚めさせて欲しい」
そう確かな意志を言葉と瞳に宿す。
そこにいるのは、未だに幼い4歳になりたての幼い少年。
けれど、確かにそこには、決意と覚悟を決めた一人の男がいた。
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ナルカナside
《出雲大社》
PM:4時12分
「俺は神剣に呑まれたりしない、屈したりしない、負けたりなんかしない。だから、ルナお姉ちゃん…この永遠神剣を目覚めさせて欲しい」
そう時夜は私に宣言した。
その蒼穹の双眸には、確かな決意と覚悟の色が灯っている。
私は、生まれた時からこの子の事を見てきた。
幼い側面も持つ時夜だが、時折、その歳の子供とは見えない程に、大人びて見える事がある。
達観している様で、かたや子供の様で、そうした矛盾を孕んでいる。
精神と身体の比率が合っていないかの様な、どこか奇妙な感覚を覚える。
その時夜の言葉と瞳の奥底。
そこには一度何かを失った事がある様な、もう二度と失う事を良しとしない様な、確固たる意志があった。
もしかすると、時夜も転生体と呼ばれる存在なのではないだろうか?
そう言った可能性が頭を過ぎる。
本人は気付いていないが、頭の奥底に、心の奥底に、魂の奥底に眠る、前世の記憶。
それがそう、時夜を突き動かしているのではないかと。
この私達が存在している世界を内包する時間樹エト・カ・リファは、幾数もの世界をその内に内包している一種の多元宇宙。
その膨大な数を誇る世界の中で、そうした転生体と呼ばれる者達は存在するのだ。
前世が神であった存在等が例に挙げられる。
嘗て、この時間樹にも神々の生きる時代。神代の時代が存在した。
そうした神代の神々が死して、神名を保持した人間として輪廻転生する。
そう言った存在を転生体という。
そう言った疑念も浮かび上がった。
だが、時夜からは神名たるオリハルコンネームを感じ取れない。
ならば、何が時夜をそこまで突き動かすのか?
…私には推測出来なかった。そもそも、私はそう言ったキャラではない。
「お願い、ルナお姉ちゃん」
時夜は私に言葉を向けて、私の返答を真摯に待っている。
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