その手に宿る調律。
夢と現の狭間で出会うモノ
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われてしまう事だろう。
「…そうですか、何かありましたら気兼ねなく申して下さいね?私達は家族なのですから」
「…うん、解ったよ」
……家族。
その言葉が水面に波紋を作るかの様に、心の中に浸透して行く。
若干の後ろめたさを感じるものの、俺はきゅっ…と、口を噤んだ。
言葉と共に、喉に詰まった溜飲を再び飲み込んだ。
「それで、今日のおやつは何かな?」
「時夜様の好きな桜餅ですよ?さぁ、早く帰りましょう」
「桜餅っ!」
「ふふっ、時夜様は和菓子が大好きですからね」
「うん、大好き!早く帰ろうよ、綺羅お姉ちゃん!」
「はい。急いでは危ないですから手を繋ぎましょう、時夜様」
そこに俺の本能が過剰反応を起こす。
環お姉ちゃんの作る桜餅は本当に美味しい。
前世より洋菓子よりも和菓子派であった俺の舌を遥かに唸らせる程だ。
それほどまでに美味なのだ。それ故に、楽しみでしょうがない。
俺は綺羅お姉ちゃんのと繋いだ手を引っ張る様にして、急ぐ様に目配せをする。
そんな俺を微笑ましそうに目を細め、何処か安堵に満ちた表情を浮かべる。
「……私は貴方と共にある、か」
そう言葉をそっと呟く。その瞬間。
夢であの存在に触れた手、その指先を自身でも感知出来ない程の微弱な柔らかな光が包み込んだ。
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