その手に宿る調律。
夢と現の狭間で出会うモノ
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《???・???》
そして、俺は夢から目覚めた。
だが、目覚めた其処の世界は現実ではなかった。
何故だか、そう認識出来た、理解する事が出来た。
それはきっと理屈ではない。もっとも上手く言葉に出来ないが、俺は魂でそう感じ取った。
まるで身体から精神のみが剥離した様な感じ。
現実とは異なる一つ線の外れた異世界に紛れ込んだ様な、そんな不思議な感覚だ。
「……何処だ、ここ?」
自然と、そう口から言葉が洩れた。
小さく零した筈の言葉が、波紋が広がる様に空間に浸透してゆく。
夢の世界だとするならば、至極鮮明なまでに五感が再現されている。
地面を踏み締めている感覚。自分が其処に存在するという事を明確に告げてくる。
それ故に、ここが夢だと言われても信じられない。
夢現、そんな言葉が脳裏に過ぎった。
視界の先に広がるのは何処までも続く、広大な陽光の世界。
頭上に太陽は存在しない。それでも世界はどう言った原理なのか淡く、暖かく照らし出されていた。
何処までも続く、暖かい、まるで包み込む様な空間。
まるで自分という存在を祝福する様に、其処は全てが陽光によって染まっていた。
「本当に、ここは何処なんだ?…何故、俺はこんな場所にいるんだろう」
そもそも、“俺”とは一体誰であったか。それは、この空間と共に打って出た疑問だ。
以前、俺は同じ様な体験をした覚えがある。それは何時で、何処での事であっただろうか?
夢で見た景色、夢でした会話、夢で存在した世界。
それが朧気な残滓となって、ノイズ混じりに見える、聞こえてくる。
解らない、解らない、解らない…。
まるで霧が掛った様に、断線してしまったかの様に、記憶を遡る事が出来ない。
何か、夢を見ていた様な気がする。
誰かが、何かが語り掛けてくる様な、そんな夢を。
何時の日かの、この世界と同じ、夢現として見据えた夢。
それすらも、何時の事なのか、振り返る事が許されない。
異様な光景。だが何より奇怪な存在は、この世界の中心に配置されていた。
地面から頭上高くまでを埋め尽くす、超巨大な半透明な水晶。
「……これは」
一歩。
警戒の表情を強めながらも、俺は水晶へと近づいて行く。
そこには反射して映るべき自分の姿が“映し出されなかった”。
まるで文字化けしたかの様な、雑影の歪み。幾星霜もの難解な文字が映し出されている。
そして、その水晶の最奥。徐々に浮き出る様に映し出される存在、あれは―――
「……“女の子”?」
見間違いではなければ、そこには十代半ば程の碧銀色の髪をした少女が映し出されていた。
瞼を擦って、もう一度水晶を見
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