緋色の空
[6/8]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
勝利の後の別れは、喜びを消し去るほどに大きかった。
「エルザ・・・どこ行ったんだろ・・・」
ハッピーが呟く。
あの後エルザは1人でどこかに行ってしまったのだ。
「しばらく1人にしてあげよ・・・」
「あい・・・」
ルーシィの言葉にハッピーはしゅんとしたように答える。
そんな中、ティアは無言で立ち上がった。
「ティア」
「!」
それを、ナツが呼び止める。
先ほどまで寝っ転がっていたナツは起き上がっていた。
ティアは怪訝そうな表情を浮かべる。
「何よ」
「何で黙ってたんだ」
「・・・何が」
「ジェラールが連れて行かれそうな時」
そう。
その場にいた全員がジェラールの為に動いたあの時、ティアだけは動かなかった。
ただ、黙ってそれを見つめているだけ。
その問いにティアは溜息をつき、ゆっくりと口を開く。
「・・・ゼロとの戦いは正直言って不利だった。だからジェラールを利用させてもらった。目的達成の為なら何だって利用する。それが偶然ジェラールだった。それだけよ」
「意味解んねえ」
「アイツを利用するのはゼロとの戦いが終わるまで。それが終わった今、利用する理由も庇う理由もない。罪人は罪人のいるべき場所へ・・・違う?」
淡々と正論を述べる。
仲間の為と言う理由の後に聞くと冷酷に聞こえる、正論を。
「ジェラールだって仲間だろ!何でお前はいつも捻くれてんだよ!ニルヴァーナを止める為に戦ったのに変わりねえだろうが!」
「アイツの犯した罪はニルヴァーナを止めるなんていう“たった1つの善”で消えるほど軽いものじゃないでしょ」
「だとしてもジェラールはエルザの側にいるべきだろ!」
「罪人が傍にいて、エルザは喜ぶかしら」
ああ言えばこう言う。
その言葉通り、ナツが何か言えばティアが正論を返していく。
「ジェラールがオレ達を信じたんだ!オレ達だってジェラールを信じるべきじゃねえか!」
「・・・」
「ティア?」
突如、ティアが沈黙した。
不思議に思ったナツが首を傾げる。
すると、ティアは口を開いた。
「だったら何?アンタはあそこでジェラールを逃がして一時の幸せをエルザに与えようとしたとでも言いたいの?幸せなんて簡単に崩れるのよ。一時的なモノは特に脆い。それを失った時のエルザの辛さまでアンタは考えたの?結果としてエルザはジェラールを失う。早いか遅いかの問題なのよ。そんな仮初めの幸せを誰が望むの?それともアンタはその仮初めの一時的な幸せでもジェラールが傍にいて笑顔を浮かべるエルザが見たかったの?その後にジェラールを失って涙を流すとしても?」
一気に、捲くし立てるように放たれる。
その言葉にはナツだけじゃなく、その場にいた全員が呆然とした。
ティアの言葉は
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]
しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ