緋色の空
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法は・・・」
見覚えがあるのかティアが呟く。
すると、コツコツと足音が響いてきた。
「よぉラハール。なぁんか楽しそうな事してんじゃねーか」
軽い声。
この空気に驚くほど似合わない軽い調子のテノールボイス。
その声の主は、ただ笑みを浮かべていた。
「クロノ!」
「兄さん」
クロノヴァイス=T=カトレーン。
ティアにとっては異母兄弟の兄であり、評議院の第一強行検束部隊の隊長を務める、部下からの信頼も厚い男だ。
「クロノヴァイス・・・」
「だーからクロノでいいって。んな人の長ったらしい名前フルで呼ぶ必要ねえよ」
「そんな事はどうでもいい・・・なぜ私達まで拘束する」
「え?あ、そういやそうだな。ティアの事で頭いっぱいだった。よし」
実はこちらもシスコン気質か!
それはともかく、クロノは再び詠唱する。
「豊穣神フレイに命じる。“評議院の人間の拘束を解け。ギルドの奴等はそのままだ”」
ふわっ、と。
軽い動きで植物の拘束が解かれる。
が、ナツ達の拘束はそのままだ。
「クロノ!こっちも解け!」
「生憎だがお断りだ。こっちからしたら、罪人逮捕邪魔されて迷惑なんだぞ?」
「そいつは仲間だ!罪人じゃねえっ!ジェラールだ!」
「・・・はぁ」
クロノは溜息をついた。
超あからさまに。
そして、呟く。
「・・・ナツ」
「ア?」
その声に、軽さはない。
ただ、真剣そのもの。
そう、彼は―――――――ティアの兄なのだ。
「これ以上ジェラールを庇うなら、オレは本気でお前を潰すぞ」
本気。
その青い目にははっきりとした闘志と殺気。
氷の女王の異名をとるティアの兄であるクロノも、また冷酷だった。
そうであるのが当然のように。
「オレだって昔世話になったギルドの仲間を傷つけたかぁねえさ。だがな、オレの1番の仕事は罪人を捕らえる事なんだよ。お前らの弁護は書類確認に書類提出に日々の訓練に・・・って色々あるうちの10番目くらいにやるべき事だ」
普段の言動が軽くても。
ジークレインとウルティアの計画を知っていながら黙っていたとしても。
彼は部下や部隊の人間に慕われる、“評議院の人間”なのだ。
だが、クロノに譲れない物があるように、ナツにも譲れない物がある。
「・・・仲間なんだ。助けんのは当然だろ」
ブチィ!と。
自力で拘束をブチ切る。
「仲間を目の前で連れて行かれそうだってのに黙ってられっかよ!オレだって本気で潰す。かかってこいやコノヤロウ!」
ナツの闘志に火が付いた。
あまりの気迫に、
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