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菊と薔薇
5部分:第五章
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は今朱雀の部屋にいた。そこでテーブルに向かい合って座って話をしている。部屋の中はとても質素でつつましやかなものだ。寒くすらある。アンはそこに何処か悲しいものを感じていたがそれは言葉には出さずそのうえで朱雀と話をしているのだ。
「日本に」
「短いものでしたわね」
「はい。最初は長いものになるかもと思っていたのですけれど」
 朱雀はこうアンに述べた。
「けれど。実際は」
「私も。短いものでした」
 アンも言うのだった。
「ここまで短いものだったとは」
「お別れですわね」
 朱雀の方から言ってきた。
「これでもう」
「貴女がまた英吉利に来られるか」
 アンは思っても仕方ないことを口に出した。
「それとも私が日本に行けば」
「また御会いできますね」
「ですが今は」
 できない。それもまたよくわかっていた。

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