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菊と薔薇
3部分:第三章
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爵位が上がればそれだけにだ。
「ですから」
 こうして彼女は朱雀と交流をはじめると言ったのだった。この交流はまずは彼女が朱雀に声をかけることからはじまった。自分の机に座って本を読んでいた彼女に声をかけたのだ。
「何を読んでおりますの?」
「日本から持って来た本を」
 朱雀は自分に対して声をかけてきたアンに対してこう答えた。
「それを読んでおりますの」
「日本からのですか」
「はい。当世書生気質といいまして」
「当世書生気質!?」
 アンの全く知らない名前の本だった。名前を聞かれてもわからずつい言葉に疑問をつけてしまったのだった。
「それは一体」
「今の学生がどうあるべきかを書いた本でして」
 朱雀はこうアンに述べた。
「それを読んでいますの」
「学生の、ですか」
 アンはその緑の目を少ししばたかせたうえでまた朱雀に言った。

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