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とらっぷ&だんじょん!
第一部 vs.まもの!
第4話 もくてき。
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て、万一の事があったりして、それが嬉しいかよ?」
「あたしは、パスカ、あたしは手伝うよ。あたしがここに来た理由は、この町で音信不通になった兄さんの消息を知る為で――」
 シャルンが声を詰まらせた。
「でも――それももう――解決したようなもんだから――。いくらでも手伝えるよ……」
「僕もバルデスさんを手伝う。困っている人を助けるのは騎士の務めだ! みんなもそうだろう!?」
「びっくりするほどおバカな騎士様。あなた、パスカの話を聞いてなかったの?」
 イヴが遮り、またしても礼拝室に沈黙の帳(とばり)がおりた。
「……俺さ。俺の村ってすげー貧乏でさ、みんなが俺が金持って帰ってくんのを待ってんだよ……。みんなが飢え死にしちまうから、何が何でも金持って帰んなくちゃならなくって……一か月って洒落になんねえんだよ……」
 パスカが沈黙を切り拓く。
「じゃあ、パスカ――」
「手伝うぜ」
 彼は笑みを見せ、肩を竦めた。
「単に性分でさ。見過ごせねえんだよ、こういうの。これであいつの妹が助かったら、あいつに飯でも奢ってもらってそれでチャラ。俺はそうさせてもらうぜ」
 シャルンが微笑み返す。少しだけ場を包む緊張がほぐれた。
「あたしも」
 サラが名乗り出た。
「あたしのお母さんは孤児院をやってて、運営資金の為にあたしがここに来たんだけど……大丈夫。一か月くらい、平気だよ。それにみんなと仲良くしたいもん」
「わたしにも協力させてください」
 片隅で息を殺していたルカも声をあげた。
「わたしは神に仕える為にここに来ました。遺跡に潜るのは怖いけど……困っている人の為なら働かなければ」
「あたしも手伝う! お宝は足生やして逃げたりしないもんね」
 視線が、残るエレアノールとイヴ、ノエルとウェルドの間を巡った。
「私もお手伝いいたします。この町に来た事情は話せませんが、出来る事であれば……」
「あたしも付き合う。遺跡研究のために来たんだけど、実地調査だと思えば無駄じゃないし」
「退屈しなくて済むなら手伝ってもいいわ。ま、気が向いたらだから、約束はできないけど」
「ウェルド」
 ノエルが隣で囁く。
 ウェルドは肩を竦めた。
「悪ぃけど」
 背を向ける。
「……ウェルド!」
「待ってくれっ」
 ノエルの声を、アーサーが掻き消す。
「ウェルド、どうして……君は昨日あんなに果敢に僕たちを助けてくれたじゃないか」
「バーカ。ああしなければ俺も死んでたからだよ」
「嘘だ。君はその気になれば一人でも馬車から飛び降りることができた筈! なのにどうして」
「一ぺん命を賭けたらな。その次までには考えが変わってるって事もあるんだぜ。覚えときな。俺には俺が決めた命の使い道がある」
「……君の研究とやらは、そんなに大層なものなのかい? 僕には
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