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継母選び
第三章
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うに見えるか?」
「いや」
 この言葉にはすぐに仲間達の否定が入ってきた。
「どう見ても困っておる」
「逃げられぬか」
「今度ばかりはな」
 そう述べて呻いた。
「どうにもこうにも。困ったことじゃ」
「ううむ」
「御主が一番望んでいなかったことじゃな」
「ところが娘にとっては一番の望みじゃ」
 ここが彼にとっては辛いところであった。彼は大人しい女を望んでいたがみよは強く優しい女を望んでいたのである。その隔たりが彼の不幸であったのだ。
「どうにもこうにも」
「で、嫁は捜しはじめておるか」
「一応はな」
 彼は答えた。
「だがどうにもこうにも。わしより強い女じゃ」
「御主よりもか」
「そうじゃ。いるか?」
 彼は仲間達に問うた。
「そんなおなごが。どうじゃ?」
 いる筈もなかろうと思った。いなければそれで普通の女を妻に迎える気であった。それでよし、後は娘に適当に言い訳をすればよいのだと。しかしそうそう上手くはいかなかった。どうやら今回は娘にとって非常に星の巡り合わせがよかったようである。逆に彼にとっては最悪であった。
「おるぞ」
「おるのか」
 仲間の一人の言葉を聞いて絶望で顔を歪ませた。
「そんなおなごが」
「小田原にな。一人聞く」
 その仲間は静かにこう述べてきた。
「腕っぷしが異常に強くてな。牛ですらも倒してしまうらしい」
「牛もか」
「そうじゃ。そんなおなごがおるそうじゃな」
「また随分強いな」
 五郎はそれを聞いて感嘆の言葉を漏らした。今は素直に感嘆の言葉を述べたのだ。
「牛を倒してしまうとか」
「そのおなごならどうじゃ」
 仲間はそう進めてきた。
「悪くはあるまい」
「そうじゃな」
 五郎は服の袖の中で腕を組んだ。そのうえで思案して述べた。

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