04:暁家の至極まっとうな日々
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たニュースを見て、凪沙が呟く。古城はそのニュースを見て、半ば反射的に呟いてしまう。
「俺じゃねぇぞ」
「え?あったりまえじゃん。何で古城君が爆発テロなんかしなくちゃいけないのさ。そんな勇気もないだろうに」
「勇気がないは余計だ!!」
妹のフォローにならないフォローに、古城は突込みを入れる。ただ、凪沙が古城の言葉の不審さに気が付かなかったようなのが救いだ。
暁古城は、一年近く前、『世界最強の吸血鬼』などという馬鹿げた肩書きを持つ魔族、《第四真祖》こと”焔光の夜伯”の資格を受け継いでしまった。吸血鬼の操る異界からの召喚獣《眷獣》はどれも強力だが、真祖クラスの眷獣となると、それはもはや天災に匹敵するだけの能力を持つ。古城の――――第四真祖の眷獣も例外ではない。
古城は吸血鬼になって日が浅いため、まだあまり多くの人間の血を吸っていない。そのせいか、眷獣たちの多くは古城を正式な主とは認めていないのだ。
現在古城の支配下…とは言っても隙を見せれば暴走するだろうが…にある眷獣は二体。一体目は、五番目の眷獣、獅子座の名を冠する《獅子の黄金》。雷で構成された体をもつ、雷光の獅子だ。もう一体は《双角の深緋》。衝撃波と音を操る、射手座の名を冠する九番目の眷獣で、緋色の双角獣の姿をとっている。
存在自体が魔導犯罪と同義だという、古城の『第四真祖である』という秘密を知っているのは、担任教師の南宮那月と、古城の監視役として《獅子王機関》なる魔導犯罪を取り締まる役所から送り込まれてきた少女、姫柊雪菜、その元ルームメイトの煌坂紗矢華、あとは《第一真祖》の納める《夜の帝国》、《戦王領域》からやってきた使者、”蛇遣い”ディミトリエ・ヴァトラーくらいか。ほかにも獅子王機関の関係者や、別の真祖など、古城のことを知っている者はいるのかもしれないが、古城と直接の面識があるのはこれくらいだ。
そう。古城は妹の凪沙に、自分の正体を明かしていない。これは、彼女が魔族恐怖症であるためだ。妹思いの古城は、妹を不安にさせないために自分の正体を隠しているのだ。
だが、たまにこういったぼろが出ることがあった。今日は気付かれなかったが、いつ問い詰められるともしれない。気を付けなくては――――
そう言えば、と、古城はテーブルの反対側に座る、義兄――魔城に問いかける。
「魔城兄の眷獣って、どんな奴なんだ?」
「へぇ、眷獣を知ってるのか。意外と吸血鬼に詳しいんだね、古城」
「あ、いや……まぁな」
魔城は古城が《第四真祖》であることを知らないはずだ、と古城は思っている。
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