暁 〜小説投稿サイト〜
ストライク・ザ・ブラッド〜魔界城の主〜
03:魔城、絃神島に降り立つ
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浅葱に、意地悪そうな表情で聞く。

「何がよ?」
「いやなに、姫柊ちゃんが古城の彼女だと勘違いされたままだぜ」
「……別に」

 ぷいっ、と背をそむける浅葱。基樹はそれに苦笑する。浅葱は基樹とは小学校入学以前からの付き合いだ。長すぎてお互いに恋愛感情などは皆無だが、良き相談相手としてつるんでいる。
 
 中一の春に、古城に話し掛けられて以来、妙に彼を意識してしまったらしい浅葱は、けなげにも古城に小さなアピールを続けている。古城が全く気付いていないのが問題といえるが……。

 だが、それ以来、その整った容姿と、年齢以上の学力によってどちらかといえば「とっつきにくい」人間だった浅葱が、周囲から「けなげなヒロイン」として認識され、友人が増えたことはいいことだ。基樹はそのきっかけを作ってくれた古城に感謝している。

「それにしても……暁魔城か……」

 基樹は、四年近く前に、兄から渡された古城の報告書を思い出す。基樹は古城の()()監視役だが、ついぞ古城に兄がいるなどという話は聞かなかった。古城は二年前は魔城が絃神島にいたと言っているが、当時、基樹は魔城らしき青年を一度も見ていないのも不自然だ。それに、浅葱は彼が画家だ、と言っていたが、やはり基樹は《暁魔城》なる名の画家を知らない。基樹の家はそれなりに裕福な家庭で、絵画採集が趣味の親族がいるため、家の中に絵の一つでも飾ってあってもおかしくないのだが……。

 しかし基樹は、魔城の姿にどこか見覚えがあるような気がする。じかに見たのは今日が初めてだが、どこかで……そう、とてつもなく古い写真だったか、絵だったかでその姿を見たことがある気がするのだ。

 たしかあれは……そう、絵だ。より正確には、絵を写した写真。兄が《戦王領域》で取ってきた写真の一つだった気がする。そこには戦が描かれていたはずだ。”忘却の戦王(ロストウォーロード)”が無数の屍の上に立つ絵。そこに描かれた、”忘却の戦王”の背後に立つもう一人の戦士。彼の容姿が、魔城に酷似していた気がする。


 突如、《番外真祖》、という言葉が浮かぶ。誰から聞いたのか。どこで聞いたのか。

「……なぁ浅葱。《番外真祖》って聞いたことあるか?」
「何よ急に。……ないわよ。《第四真祖》ならあるけど」
「だよな」

 自分の思い違いか。と、基樹は去って行くその《第四真祖》とその兄弟、表向きの監視役の、四人組を眺めた。


 ***


 魔族特区の中には、既にその役目を終えて、使われなくなった廃棄区域が存在する。そう言ったところは、大抵がテロリストや犯罪者などの隠れ蓑として利用される運命にある。

 ここ、旧西区第三ブロックもそうだった。もとは人工島本島(ギガフロート)建設の最前線として利用されてい
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