暁 〜小説投稿サイト〜
とらっぷ&だんじょん!
第一部 vs.まもの!
第3話 いざ、じっせん!
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ってね。おっさんの居所はわかるかい?」
 荷袋を腰帯から外し、カウンターに置く。中の宝珠がカウンターに当たり、音を立てた。
 オイゲンが肉を炒める手を止め、丸く見開いた目から驚愕の視線を注いでくる。
「何だい?」
「ウェルド、ノエル、まさかお前ら……もう子竜の宝珠を手に入れたのか?」
「ああ。って、なんで親父がその事を?」
「そりゃお前、俺がバルデスに適当な新入りに仕事を斡旋するよう頼んだからだよ! しっかし驚いた、お前らまだここに来て二日目だろ? まさかこんなに早く仕事をこなして来るとはねえ!」
「優秀な学者サマが同行してくれたおかげでね」
 隣席のノエルがぎゅっと体を小さくする。
「あたしは別に――そんな――」
 そのノエルの隣の空いた椅子を、何者かが引いた。
 金色の髪を肩まで伸ばした、馬車で見た男だった。そして、ウェルドが未だ名前を把握していない、最後の新人冒険者だった。
「ノエルさん……」
 男はいきなり甘い声で語りかけた。
「な……あなた誰? 何であたしの名前を知ってるの?」
「神が僕の耳もとで囁くのです。あなたの甘い名を……。なんて素敵な子だ……君のような可愛い子がこの世にいるなんて……」
「あ、ばっ、ばっ! 馬鹿じゃないの!」
「照れる事はないのです。美しい女性は神の奇跡の御業(みわざ)、この世の奇跡の結晶です。凡百の有象無象からはぬきんでた特別な存在……君は賛美を浴びるに値する人間だ……」
「あたしをそこらの子たちと一緒にしないでよ!」
「もちろん」
 男はとろけるような笑みを浮かべた。
「君は他の子とは違う。大陸中を探したって、君のような可愛い子は他に存在しませんよ」
「おい、こら。嘘臭ぇキザ野郎」
 ウェルドは低い声で割って入った。
「いきなり現れたと思ったらくだんねぇ事ベラベラベラベラと。ざけんじゃねえぞ。名を名乗れ」
「恋の天使は残酷だ!」
 男は細い眉を悲しげに垂らした。
「ノエルさん、君のような無二の女性を連れまわす男が、よりによってこの気の荒いブ男だなんて」
「勝手な事言わないでよ! 何よ、急に――」
「ええ、ノエルさん、わかります。この出会いは神がさだめし運命……。どのような醜い妨害があろうとも僕は必ず君と結ばれます」
「てめぇ、いい加減聞けやコラ。誰がブ男だ、おい」
 ウェルドはカウンターからズッと身を乗り出した。
「うん? 何です? 君は。無粋な田舎者ですねぇ。恋する二人の語らいに――」
「恋してるわけないでしょ! ふざけないで!!」
「名前を名乗れっつったんだよ!」
「イヤです」
 男は満面の笑みで言った。
「どうして僕が男のあなたに名を名乗らなければならないのです? 絶対にイヤです」
「あのなあ」
「何度でも言います。絶・対・に・イ・ヤ・で
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