第一部 vs.まもの!
第3話 いざ、じっせん!
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た。
「魔装具を持たないあなたにはそれが使えるはずよ」
カプセルを手に立ち止まる。ノエルと二人、顔を突き合わせてカプセルを覗きこんだ。
「力の具現化を念じる、ってもなぁ……」
ウェルドは一か八か目を閉じ、頭の中で言ってみた。
もしもし、カプセル、お前が力を秘めているのなら、それを見せてくれ。
〈フリップパネル〉
唐突に、言葉が脳裏に浮かんだ。
あっ、とノエルが声を上げた。驚き目を開けたウェルドは、床の、大人一人が乗れるほどの範囲に魔方陣のような模様が青い光で描き出されているのを見た。
「フリップパネル?」
「なに、それ?」
「わからん……そんな単語が頭に浮かんだんだ」
何かが闇に蠢く。殺気を感じ、ウェルドはノエルを突き飛ばした。
ケイプバイパーの幼体が、小さいながらも槍のように鋭い舌を突き出しながら二人に飛びかかってきた。咄嗟に大剣を構え、盾代わりにする。
ケイプバイパーが床に描かれた陣に乗った。
予想もしなかった事が起きた。
陣が消え、トカゲの魔物が弾き飛ばされた。その先にディアスがいて、彼の背中にぶち当たった。ウェルドは感心して言った。
「なるほどー、上に乗った物をぶっ飛ばすトラップみたいだな!」
衝撃で前につんのめって転びかけたディアスは、一瞬よほど何か物言いたげな表情を見せたが何も言わなかった。
ケイプバイパーの全滅は、予想よりもあっけなく終わった。大剣で薙ぎ払った最後の一匹が壁に叩きつけられて床に落ちると、白い玉を吐いた。掌の上で転がるそれは、セフィータの港町で目にした真珠に似ており、真珠より遥かに大きかった。
※
フリップパネルの件を根に持っているのか、〈時の行路図〉で町に戻ると、早々にディアスは宿舎に戻っていった。
「ねえ、報酬の件、ディアスに言わなくてよかったのかしら。協力してもらったんだし……」
ウェルドは肩を竦める。
「明日でいいさ」
夏は無数の粒子となって弾け、町を熱気の中に閉ざす。西日射す大通りに出ると、たちまち汗が噴き出てきた。むさ苦しい大男たちをかき分けて、ノエルがはぐれないよう振り向きながら酒場へと急いだ。ノエルは小柄な体でひょいひょい混雑を縫い、しっかりついて来る。
ウェルドは酒場の戸を開けた。
扉の中の気温は外よりなお高く、湿気と酒の臭いに満ちていた。狭い室内は喧騒に満ち、食器の触れ合う音や太い笑い声が耳をつんざく。ウェルドは眉間に皺を寄せた。
「よう、オイゲンの親父」
ウェルドはカウンター席の端に腰をかけた。隣には湿気でよれよれになり、インクもすっかり滲んでしまった壁新聞が貼られている。
「おう――ってウェルドにノエルじゃねえか。どうだ、もう遺跡には潜ってみたかい?」
「ああ。バルデスのおっさんから仕事をもら
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