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大義
第六章
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やって来た。その先頭にはシンカランが言った。
「この部屋は終わりですね」
「ああ、これでな」
「二人いたけれどな。二人共な」
「そうですか」
「それでこれで終わりだよな」
 アンボンがシンカランに対して尋ねた。
「この仕事は。これで」
「はい、そうです」
 その問いにすぐに答えるシンカランだった。
「もう全ての部屋を制圧しました」
「そうか。じゃあもう何もしなくていいんだな」
「お疲れ様でした」
「時間になったら帰らせてもらうぜ」
「俺もな」
 アンボンだけでなくマナドも敬礼をして述べたシンカランに対して言葉を返した。
「後はゆっくりさせてもらうさ」
「家でな」
「これから打ち上げがあるのですが」
 しかしここでシンカランはこう言ってきた。
「作戦成功を祝うパーティーが」
「パーティーか」
「御馳走が出ますよ」
 にこりと笑って二人に言ってきたのだった。
「あとアッラーも謝罪が必要ですが」
「酒もか」
「如何ですか?」
 御馳走と酒の話を出したうえでまた二人に対して問うてきた。この国はムスリムが多くそれで体面としては酒は飲んではいけないことになっているのだ。あくまで体面ではあるが。
「それで」
「そうだな。酒が出るんだったらな」
「それじゃあな」
 この辺りは現金だった。その二つに対しては断ることがなかった。
 だがそれでも。やはりこの状況には思うところがあるのだった。
「また出て来るんだろうけれどもな」
「その時には。まただな」
「はい。宜しく御願いします」
 シンカランも真剣な顔で答えたのだった。
「市民の安全の為に」
 彼のこの言葉を最後に戦士達は戦場を後にした。彼等は彼等の大義を果たした。それにより多くの市民達が守られたことは事実である。


大義   完


                   2008・12・30

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