Between Times 同居人たちの対話
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ン姿で見下ろしていた。
彩斗とサヤナはゆっくりと螺旋階段を登りながら2階へと辿り着く。
「遅かったですね?もうご飯できてるのに...」
「ごめんなさい。ちょっとサヤナを探すのに時間が掛かって」
「あ!人のせいにするの?自分の要約力の無さのせいでしょ?」
「君のせいでもあるよ!」
「まぁまぁ...でもこれで全員揃ったわ」
2人の間に割って入ったのはアイリスだった。
4年前と同じく蝶の髪飾りに人形と勘違いしそうなまでに美しい顔立ちに甘音色のロングヘア、ロングスカートに大きなリボンのワイシャツ姿。
優しく包容力のあり甘く艶っぽい声だ。
「今日はカレーです。人参多め、玉ねぎ少なめです」
「...人参かぁ...」
「お?好き嫌いかぁ?サイトォォ...?」
「君は玉ねぎが減って嬉しいくせに...」
サヤナはニヤニヤとオヤジ臭い声で彩斗をバカにする。
だが彩斗は小さな声で愚痴りながら特に反論することもなく席に着いた。
そしてエプロン姿の少女、『城戸舟子』が持ってきたカレーをテーブルに乗せていく。
「いつもありがとう舟子さん」
「いえいえ」
舟子は半年ほど前からこの家に住み込みで働いている。
舟子とその双子の弟は両親に先立たれ、極貧生活を送ってきたのだ。
そんな不幸な境遇にもめげることなく、舟子は小さい頃から年齢をごまかして働いてきた。
高校に進学したものの、「貧乏人」とイジメられながらも弟たちのため、自分の学費を払うため、生きていくために働いてきたのだった。
だがとうとう体が悲鳴を上げた。
バイト帰りに空腹に耐えられずに倒れたのだ。
正直、三途の川の向こうで天使が手招きしているのが見えたという。
だがその場に偶然、彩斗が居合わせた。
救急車を呼ぼうとするも止められ、取り敢えずその場のファミレスで食事をおごった。
「大丈夫です。ありがとうございました!」と笑顔で別れた舟子だったが、20メートルほどで再び倒れた。
今度は過労だ。
救急車も呼べない状態で出来ることは自分の家に運ぶことだった。
目覚めた舟子から詳しい事情を聞くうちに彩斗はところどころ共感を覚えた結果、彼女を雇うことにした。
時給1200円、学費、借金、生活費は負担、住む場所も与え、弟たちの家賃も受け持つという破格の条件だった。
ただ条件が2つあった。
それはイジメを受けるようなことのない平和で教養のある学校に転校し、今やっている労働基準法スレスレのバイトを全て辞めることだった。
正直、彩斗はイジメられる人間を見たくもないし、人の努力を踏みにじって金儲けしているような人間は大嫌いだったし、何よりこの時のこの家の食生活が崩壊寸前だったからだ。
食事はインスタント食品とトーストしたパン、コンビニで買ってきたサ
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