Between Times 同居人たちの対話
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時は現代に舞い戻る。
サヤナと彩斗は帰路につく。
それも少し小走りで。
あの記念碑のある公園での彩斗は自分の過去を話した。
出来れば話したくないことまで話す羽目になったが、幸いなことにサヤナは自分に対する態度を変えることをしなかった。
自分が殺人を犯したと告白した、早い話が自分の横で一緒に歩いている少年がかつて殺人鬼だったということを知っても驚くこともなくいつも通りなのだった。
「ねぇ?僕の過去を知って、僕のことを嫌いになった?」
「え?だって、過ぎたことだし仕方ないじゃん?実際、サイトはそれだけのことをされてたわけだし」
「でも...」
「いいんだって。私はサイトがどんな人かちゃんと分かってるから。絶対に見捨てたりしないよ」
「!?...ありがとう」
彩斗は恐る恐る質問するが、サヤナは笑顔で返した。
だが彩斗恐れていた最後の可能性があった。
それはサヤナが自分を傷つけないためにわざと笑顔で振舞っているということだった。
しかしそれは誤りだった。
それにサヤナは彩斗がかつて言われたのと同じセリフを口にした。
アイリスやミヤ、そしてメリーに言われたセリフと。
嘘偽りのない本心から出てくる言葉を。
「じゃあ...もう少し急ごう。話してたら夕飯の時間過ぎちゃったし」
「え!?ちょっと!!遅れたのはサイトのせいでしょ!?」
「君が話してくれって言ったから!?」
「サイトには簡潔にまとめて話す要約力が足りないんだよね!それだから国語の成績が伸び悩むんだよ!」
「うっ....そんなことないよ!」
「じゃあ過去の助動詞『けり』の活用形を未然形から行ってごらん?」
「.....」
彩斗は少し考える仕草を見せたがサヤナの手を取り、スキップするように走り始めた。
そしていつもの通りに軽く親しみのある口喧嘩。
傍から見れば、実に身長差が実に30センチメートル程の兄妹の微笑ましい光景に見えた。
マンション街で帰宅しようとするサラリーマンやOLの避けながら、その一角にある家の門をくぐった。
そこには豪邸があった。
『コトブキ町』というベッドタウンには似つかわしくない高級住宅。
4階建てにクリーム色の外壁、広めの庭には手入れされた草木に地下水の湧き出る池、ガレージ。
一般人の住宅にしては相当な金持ちの物件としか思えない家のドアを彩斗とサヤナは躊躇うことなく開いて靴を脱ぎ捨てた。
「たっだいま!!!」
「ただいま」
「おかえりなさい!」
彩斗とサヤナに上から声がかけられた。
1階は広い空間で主に書斎や倉庫がある。
そして吹き抜けになっており上の階から覗けるようになっているのだ。
声の主は2階のリビングからエプロ
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