弐_ここは、地獄
五話
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ミヤコはその後、食堂のような場所に通された。
テーブルにつくと、鬼灯が目の前に座った。熱いお茶を出されたので、それを少しだけ飲む。
唐瓜と茄子はまだ仕事が残っていたらしく、さっさと行ってしまった。
こんな人と二人だけ。何て気まずいんだ。大阪のノリなんて全く通じなさそうだし。
「というわけで」
鬼灯が切り出した。
ミヤコは自然と姿勢を正す。何だか面接を思い出して嫌だった。
「あの二人に出会ってここへ来たのも何かの縁。見たところ、あなたは現世では就職活動中の身ですね」
「は、はい」
地獄の鬼でも現世のこと、そんなことまで知っているのか。
ギャップが少しおもしろかったが、ミヤコはそう返事をしただけだった。
「ここのところ、地獄も人手不足で困っているんですよ。何が言いたいかわかりますか、ミヤコさん」
「・・・・・・えっ」
「つまり、どうせ地獄へ来て何もすることがないんだったらここで働け、ということです」
ミヤコは飲みかけていたお茶を吹き出しそうになったが、この人の前でそんなはしたないことはできないと思い耐えた。
おかげで咽こんでしばらく咳が止まらなかったが、鬼灯がそばに立てかけている金棒でもしも殴られることを思えば、安いものだ。
「ここで?地獄で?わたしが!?」
「ええ。」
鬼灯は平然とそう言うと、何か書類のようなものを出して、ミヤコの前に置いた。
採用通知書、と書いてある。
「本来はキチンと勉強した地獄卒の鬼しか採用はしないんですが。まあ、あなたならいいでしょう。思いっきり中途採用になりますし、同期はいませんけど」
「いやいやいや、何がどうしてわたしがここで働くんですか!」
「おや。いいんですか。あなた、地獄にいるということは、本来なら罰を受ける身であるということですよ」
「ちょっとそれも引っかかってたんですよ。わたし、犯罪なんかしたこともないし悪いことだってしてないのにどうして天国じゃなくて地獄なんですか」
鬼灯の目がまたギラリと光った。
小さくため息をつくと、彼は頬杖をついた。
「あなた、蚊やゴキブリや、そのような小さな虫を殺したことくらいあるでしょう」
「そりゃあ、まあ。夏とか特に」
「それだけでもう、等活地獄行きは決定しているんです。人間なんて、誰もが間違いなく確実に否応なしに死んだら地獄へ来ることは決まっているんですよ」
「嘘やん!」
「等活地獄は八大地獄の中でも一番軽い罪を犯した者が落ちる地獄ですが、それでも罰は辛いもので、体感で約一兆年ほど罰せられます」
「い、一兆年・・・・・・」
「あなたは事情が事情ですし、わたしが言えば閻魔大王も納得してくれると踏んで、こうしてここで働けるように手続きを
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